
睡眠時無呼吸症候群とは、眠っている間に呼吸が止まったり浅くなったりする病気です。英語では「Sleep Apnea Syndrome」といい、SASと略されることもあります。多くの場合、睡眠中に喉の空気の通り道が狭くなることで発生します。
眠っている間は筋肉の緊張が緩んでしまうため、舌や喉の周囲が落ち込みやすくなります。その結果、空気の通り道が狭くなったり塞がったりすることで、無呼吸やいびきを繰り返します。
睡眠時無呼吸症候群は自分では気づきにくい病気です。本人は眠っているため、呼吸が止まっていることに気づかないことが多いですが、ご家族や同居している方から「眠っている時に息が止まっている」「いびきが大きい」などと指摘されて初めて疑うことが多いです。
睡眠時無呼吸症候群は珍しい病気ではありません

睡眠時無呼吸症候群は特別な人だけに起こる病気ではなく、誰にでも起こる可能性がある病気です。日本呼吸器学会では、成人男性の約3から7%、成人女性の約2から5%に見られるとされています。男性では40歳から50歳代が多く、女性では閉経後に増える傾向があります。
つまり睡眠時無呼吸症候群は、働き盛りの世代にも多い病気です。最近、日中に眠気が出る、集中力が続かない、朝から頭が重いといった症状があると、仕事の疲れや年齢のせいと思い込まず、睡眠時無呼吸症候群の可能性があるんです。
世界的にも患者数が多い病気です
睡眠時無呼吸症候群は日本だけではなく、世界的にも患者数の多い疾患です。2019年の医学雑誌「Lancet 」に掲載された研究によると、30歳から69歳の成人に閉塞性睡眠時無呼吸に該当する人は世界で約9億人います。そのうち、中等症から重症に相当する人は約4億人以上と推定されています。
Benjafield AV, et al. Estimation of the global prevalence and burden of obstructive sleep apnoea: a literature-based analysis. Lancet Respir Med. 2019;7(8):687-698.
もちろん、国や診断基準、検査方法によって数値は変わりますが、睡眠時無呼吸症候群は一部の人の病気ではなく、多くの成人に関係する身近な病気と考えられています。
どんな人に睡眠時無呼吸症候群が多いのか

睡眠時無呼吸症候群が起こりやすい人はいくつかの特徴があります。代表的なのは肥満です。体重が増えると首の周りや喉の周りにも脂肪がつきやすくなり、空気の通り道が狭くなります。
ただし、睡眠時無呼吸症候群は太っている人だけの病気ではありません。舌が大きい、顎が小さい、首が短い、扁桃が大きい、鼻詰まりがある、年齢による喉の筋肉のたるみなど、体格や骨格の影響でも起きます
特に日本人は、欧米人ほど肥満が目立たなくても、顎の小ささや顔の骨格の影響で空気が通りにくくなり、睡眠時無呼吸症候群を起こす方がいます。そのため、体型だけで「自分は関係ない」と判断しないことが大切です。
男性に多い一方、女性も注意が必要
睡眠時無呼吸症候群は統計的には男性に多い病気です。男性では40歳から50歳代に多く見られ、仕事や家庭で忙しい年代と重なります。そのために、日中の眠気や疲労感があると忙しいから仕方ないと見過ごされやすい傾向があります。
一方で、女性も注意が必要です。女性では閉経後に睡眠時無呼吸症候群が増えるとされています。女性の場合、大きないびきや強い眠気だけではなく、疲れやすい、眠りが浅い、朝の頭痛、不眠感などとして表れることもあります。
そのため、本人も周りの方も睡眠時無呼吸症候群を疑いにくく、発見が遅れてしまうことがあります。
中高年が増えやすいのはなぜか
年齢も睡眠時無呼吸症候群と関係していますが、中高年になると筋肉の張りが低下し、睡眠中に喉の空気の通り道が塞がりやすくなります。また、年齢とともに体重が増えたり、高血圧や脂質異常症などの生活習慣病を発症しやすくなります。こういったことが重なることで、睡眠時無呼吸症候群が引き起こされることがあります。特に若い頃に比べていびきが大きくなり、体重が増えて眠りが浅くなり、朝から疲れが残りやすくなったという方は注意が必要です
睡眠時無呼吸症候群は、夜だけの問題ではない
睡眠時無呼吸症候群は眠っている間に起きている病気ですが、影響は夜だけではありません。呼吸が止まったり浅くなったりすることで、睡眠が何度も分断されます。本人は長時間寝ているつもりでも、深い睡眠が十分に取れていないことがあります。
その結果、日中の眠気、集中力の低下、仕事のミス、運転中の眠気、倦怠感などにつながることがあります。また、夜間に低酸素状態が続くことで、体にはストレスがかかるのです。
睡眠時無呼吸症候群は、高血圧などの生活習慣病とも関係することがわかっています。睡眠中に無呼吸を繰り返すことで、様々な健康問題を引き起こす病気と、日本呼吸器学会でも説明されています。
見逃されやすいのはなぜか
睡眠時無呼吸症候群が見逃されやすい理由は、本人に自覚が少ないことです。呼吸が止まっている間は眠っている最中ですので、自分では気づくことが難しいです。また、日中の眠気や疲労感があっても、睡眠不足や年齢、ストレスのせい、仕事が忙しいからと考えてしまうことも多いです。
いびきだから仕方ないと思っている方も多いです。しかし、いびきが大きい、家族から無呼吸を指摘された、朝から疲れている、日中に眠気が強い、血圧がなかなか下がらないといった場合は、ご自身に睡眠時無呼吸症候群が隠れている可能性があります。
