心臓疾患・不整脈と睡眠時無呼吸症候群の関係|いびきを放置してはいけない理由

睡眠時無呼吸症候群は、眠っている間に呼吸が止まったりする病気です。日中の眠気の原因として知られていますが、実は心臓や血管にも負担をかけることがあります。

特に多い閉塞性睡眠時無呼吸症候群では、睡眠中に喉の空気の通り道が狭くなり、呼吸が一時的に止まります。そのために血液中の酸素が低下し、体は酸素が足りないと判断し交感神経を刺激します。交感神経が活発になると血圧は上がりやすくなり、心拍数も変動しやすくなります。アメリカの心臓協会の声明でも、閉塞性睡眠時無呼吸は間欠的な低酸素、交感神経の変動、睡眠の分断を特徴としており、心血管疾患との関連が示されています。
Tetaj N, et al. Obstructive Sleep Apnea and Coronary Artery Disease: An Overlooked Cardiovascular Risk Factor. Biomedicines. 2026.

心筋梗塞や狭心症との関係

心筋梗塞や狭心症では、心臓を栄養する冠動脈の血流が不足することで起こります。狭心症では一時的に心臓の筋肉の血量が不足してしまうため、胸の痛みや圧迫感が出ることがあります。一方、心筋梗塞では冠動脈が完全に詰まってしまい、心臓の筋肉が障害を受けます。

睡眠時無呼吸症候群では、低酸素状態が繰り返されることで血管に負担がかかりやすくなります。また、交感神経の刺激や酸化ストレス、血液が固まりやすくなる変化などが重なることで、冠動脈疾患への関係が指摘されています。閉塞性睡眠時無呼吸は、冠動脈疾患を持つ患者さんに多く見られ、動脈硬化の進行や心筋梗塞の再発に関係する可能性があるとされています。

心筋梗塞後の患者さんを調べた研究では、睡眠中の呼吸障害が高頻度に認められることが報告されています。つまり、心筋梗塞や狭心症の背景に睡眠中の呼吸障害が潜んでいる場合があるのです。
Ludka O, et al. Sleep apnea prevalence in acute myocardial infarction: the Sleep Apnea in Post-acute Myocardial Infarction Patients Study. Int J Cardiol. 2014.

睡眠中の低酸素は心臓に大きな影響を与える

睡眠中は本来、心拍数や血圧が落ち着き、心臓も休む時間になります。しかし、睡眠時無呼吸症候群があると、呼吸が止まるために酸素が下がり、体は酸素不足に反応して交感神経を働かせるような動きになります。

その結果、血圧や心拍が急に変動することで、心臓への酸素需要が多くなります。一方で、冠動脈疾患がある方は、心臓が必要とする酸素を十分に届けにくい状態となっています。そこに呼吸によって心拍数の変動や低酸素が重なってしまうと、心臓にとっては大きな負担になります。そのため、心筋梗塞や狭心症のある方では、いびきや無呼吸を指摘されている場合、睡眠時も呼吸症候群の検査がとても大事です。

不整脈と睡眠時無呼吸症候群との関係性

心房細動は、心臓の上の部屋である心房が不規則に動く不整脈です。息切れや動悸、胸の不快感などの症状が出ることがありますが、自覚症状がないことも多いです。

睡眠時無呼吸症候群では、無呼吸により酸素が低下し、呼吸が再開する際に心拍や血圧が急激に変動します。この変動が心臓への刺激となり、心房細動が発生しやすい状況になるとされています。心房細動が再発する方は、睡眠時無呼吸症候群を確認することが重要です。

心房細動の治療を受けている方の中には、カテーテル療法や薬物治療を行っても再発を繰り返す方もいらっしゃいます。そんな場合、睡眠中の血圧変動や低酸素の影響が隠れていないかを確認することは非常に大切です。

心房細動の予防や管理においては、運動、禁煙、飲酒の調整、高血圧などの血圧管理が重要とされています。睡眠時無呼吸症候群を含む睡眠障害は、心房細動のリスク因子として重要な要素とされています。

心臓の病気がある方は、いびきを軽く見ないことが大切

いびきは単なる音の問題と思われがちですが、睡眠中の無呼吸や日中の眠気、朝の頭痛、大きないびき、夜間の頻尿、疲労感などの症状がある場合は、睡眠時無呼吸症候群が隠れている可能性があります。

特に心房細動、心不全、狭心症や心筋梗塞の既往がある方では、睡眠中の低酸素や心拍の変動が心臓に負担をかけることがあります。心臓の治療を受けているにもかかわらず、動悸を繰り返す、夜間や起床時に息苦しさを感じる、強いいびきや無呼吸を指摘されている場合は、睡眠の状態を見直すことが重要です。

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