睡眠時無呼吸症候群の治療は、重症度に合わせて選択します。症状の強さ、検査で確認された無呼吸の程度、体格、生活習慣、鼻や喉の状態などを総合的に考慮して治療法を選びます。
睡眠時無呼吸症候群は、眠っている間に空気の通りが狭くなり、呼吸が止まったり浅くなったりする病気です。そのため、治療の目的は睡眠中の気道を保つ、酸素低下を減らす、日中の疲労感や眠気を改善する、高血圧などの全身への負担を減らすことです。
CPAP治療

CPAP療法は、中等症から重症の睡眠時無呼吸症候群で中心となる治療です。CPAPは、睡眠中に鼻に装着したマスクから空気を送り、喉の空気の通り道が塞がらないようにする治療です。空気で気道を支えるイメージで、無呼吸や低呼吸を減らし、睡眠中の酸素低下を改善します。
CPAP療法は睡眠時無呼吸症候群の代表的な治療であり、特に無呼吸の回数が多い方、日中の眠気が強い方、高血圧症などの方には重要な選択肢です。CPAP療法は無呼吸低呼吸指数や酸素飽和度の改善に優れており、閉塞性睡眠時無呼吸症候群の第一選択とされています。
一方で、CPAP療法は継続がとても大切です。マスクの違和感、空気の漏れ、鼻づまり、空気の乾燥などで使いにくさを感じる方もいらっしゃいます。そういった場合は、マスクの種類を変更、加湿器の併設、圧設定の調整、鼻炎の治療を併用することで改善する場合があります。自己判断で中止はせず、医療機関と相談しながら続けやすい形に調整することがとても大切です。
マウスピース治療

マウスピース治療は、軽症から中等症の睡眠時無呼吸症候群で選択されることがあります。睡眠時無呼吸症候群に使用されるマウスピースは、下の顎を少し前に出すことで、空気の通り道を広げる装置です。これは一般的な歯ぎしり用のマウスピースとは目的が異なります。
アメリカの睡眠学会のガイドラインでは、CPAPが使えない方やCPAP以外の治療を希望する閉塞性睡眠時無呼吸症候群に対して、マウスピースの使用が推奨されています。マウスピースは歯科医師による適切な作製と調整が必要です。ただし、重症例ではCPAPの方が無呼吸や酸素低下を改善しやすいとされています。
マウスピースは便利な治療ですが、すべての方に適しているわけではありません。患者の状態や顎関節の状況、無呼吸の重症度を確認した上で選択する必要があります。
体重管理や生活習慣の改善

肥満は、睡眠時無呼吸症候群の大きな原因の一つです。そのため、体重管理や生活習慣の改善が治療の一部として重要になります。首まわりやのどの周囲に脂肪がつくと、睡眠中に気道が狭くなることがあります。そのため、体重が増えてから「いびき」や「無呼吸」を指摘されるようになった方は、体重管理がとても大切です。体重を減らすことは、睡眠時無呼吸症候群の改善につながる可能性が高いです。
睡眠時無呼吸症候群の患者さんを対象にしたランダム化比較試験では、食事や運動、飲酒、喫煙などの介入を組み合わせた生活習慣の改善によって、睡眠時の無呼吸数が改善したことが報告されています。また、飲酒は睡眠中に喉の筋肉を緩めてしまい、無呼吸を悪化させることがあります。特に寝る前の飲酒は注意が必要です。
喫煙や鼻詰まりも睡眠の質や気道の状態に影響するため、必要に応じて見直しましょう。
手術や耳鼻科的治療

睡眠時無呼吸症候群にて、手術や耳鼻科的治療が検討されるのは、扁桃が大きい、鼻づまりが強い、鼻中隔弯曲があるなど、鼻やのどの構造が関係している場合です。小児では扁桃やアデノイドが原因となることもありますが、成人では肥満や骨格、生活習慣など複数の要因が重なっていることが多く、手術だけで全てが解決するとは限りません。
鼻づまりが強い場合、CPAPの使いにくさにつながることもあるため、鼻炎や副鼻腔炎などの治療を併用し、CPAPを継続するようにすることがあります。
治療は続けられる形にすることがとても大切です。睡眠時無呼吸症候群の治療で大切なのは、自分に合った方法を選び、継続することです。CPAP、マウスピース、体重管理、生活習慣の改善、耳鼻科的治療など、治療法には複数の選択肢があります。
重症度や原因によって適した治療は異なるため、検査結果をもとに医師と相談しながら方針を決めることが大切です。いびきだけだから大丈夫と思っていても、睡眠中の低酸素や睡眠の分断が続くと、日中の眠気や集中力低下だけではなく、高血圧など生活習慣病による体への負担につながることがあります。気になる症状がある方は早めに相談し、自分に合った治療法を検討していきましょう。
