喘息

喘息は、気道(空気の通り道)に炎症が起こる事によって、(気管支の収縮や粘液の過剰な産生により)結果的に気道が狭くなってしまい、うまく空気を肺に届けられず苦しくなる状態(喘息発作)をいいます。健康な人と比較して、喘息の病気がある方は、慢性的に炎症を起こしているため、気道が狭くなり、常に苦しく咳をしてしまいます。

喘息の原因

喘息を誘引させる原因は多くあります。ハウスダスト・花粉・犬や猫ペットの毛に対するアレルギー反応、喫煙、気温の変化、大気汚染によって喘息を引き起こします。また、風邪症状のあとにも喘息発作を発症することも。人によっては激しい運動に発症する方もいらっしゃいます。

喘息の症状

喘息の症状としては気道が狭くなっていることによって、【咳をする、呼吸をした時にヒューヒューと音がする、息苦しい、胸が締め付けられる】という症状が出現します。

喘息の治療・対処法

喘息は気道の炎症を起こしているため、炎症を抑えることが治療の原則です。炎症を抑えるために、炎症を誘引させる環境をなるべく避けること(アレルギー源をなるべく避ける、タバコをやめる、ホコリやダニをさけるために掃除をこまめに行うなど)がとても大事です。狭くなった気管支を広げるために、気管支拡張薬を使用します。さらに起こってしまった炎症を抑えるためにステロイドの吸入薬を用いて治療を行います。吸入ステロイドは、小学生以上であれば基本的に使用可能です。

ステロイド薬は、とても良いお薬ですが、きちんと使用をしないと喘息も治らないだけではなく、カビを発生させたりと逆効果になる場合もあるのできちんと使用方法を守りましょう。
・吸入の使用回数を守る
・症状が治まっても、毎日吸入を行う
・吸入後はうがいをする(うがいをしないと口の中で、カビが生えやすくなったり、声がかすれることがあります)

吸入ステロイド

ステロイド薬は副作用が気になりますが、吸入薬は気道に直接作用し効果が得られるため、飲み薬よりも量が少なくステロイドによる副作用も少ないです。

吸入ステロイドの治療薬として大きく3つに分けられます。症状に合わせて、ステロイドのみか、2剤併用、3剤併用を検討していきます。
・吸入ステロイド(ICS)
・吸入ステロイド(ICS)+長時間作用性β2刺激薬(LABA)
・吸入ステロイド(ICS)+長時間作用型β2刺激薬(LABA)+長時間作用型抗コリン薬

吸入薬には、エアゾールタイプと、ドライパウダータイプが存在します。
・エアゾールタイプ(薬剤を噴霧させ吸入するので、吸入のタイミングを合わせる必要はありますが、息を吸う力が弱い幼児や高齢者でも使いやすい)
・ドライパウダータイプ:(吸入のタイミングを合わせる必要がない)

吸入ステロイド(ICS)

1日1回:アニュイティ、オルベスコ(2回もある)
1日2回:フルタイド、キュバール、パルミコート、アズマネックス

キュバール・オルベスコ:エアゾールタイプ(薬剤を噴霧させ吸入するので、吸入のタイミングを合わせる必要はありますが、息を吸う力が弱い幼児や高齢者でも使いやすい)
ドライパウダータイプ:(吸入のタイミングを合わせる必要がない)

吸入ステロイド(ICS)+長時間作用性β2刺激薬(LABA)

気管支拡張作用を持つβ2刺激薬をステロイドに追加した製剤です。

1日1回:レルベア(最も安価)、アテキュラ
1日2回:アドエア、フルティフォーム、シムビコート(ブデホル)

ドライパウダータイプ:シムビコート、レルベア
エアゾールタイプ:アドエア、フルティフォーム

シムビコートは、発作時に追加吸入することが可能(SMART療法:1回の最高量は4吸入で、1日最大8吸入まで可能)。咽頭部の副作用も少ない。
アドエアは、のどに直接噴霧される為、咽頭部への副作用(声のかすれなど)はシムビコートよりも高めと言われています。

吸入ステロイド(ICS)+長時間作用型β2刺激薬(LABA)+長時間作用型抗コリン薬

1日1回:テリルジー、エナジア
1日2回:ビレーストリ

ドライパウダー:テリルジー

最近では、吸入ステロイドや長時間作用型のβ2刺激薬に長時間作用型抗コリン薬を併用した薬剤も出現しました。
テリルジーは、1日1回吸入で使いやすいですが、しっかり吸い込む必要があります。

(発作時)短時間作用型β2刺激薬

メプチン、サルタノール

症状が悪化した時(発作時)には、ステロイドではなく短時間作用型β2刺激薬を使用します。
症状が悪化した時に1回2吸入(小児は1吸入)使用します。