むくみ(浮腫)の原因とは?|しくみ・考えられる疾患を徹底解説
むくみは、体の中に余分な水分や塩分が溜まることで発生する現象であり、特に足や顔、手に現れやすいです。
「むくみ」とは?
「むくみ(浮腫)」とは、皮膚や皮下組織に余分な水分がたまった状態のことをいいます。
「朝起きたら顔がパンパンで大きい…」
「夕方になると足が太くなっている…」
一時的なむくみは心配ないことが多いですが、 数日も続く場合、病気の可能性もあるため注意が必要です。
むくみの仕組み|なぜ水分がたまるのか?
通常でも実は血管から水分が周りの組織にでているんです。しかし、その水分は通常時は、リンパ管や静脈が吸収し、むくみが出ないようにバランスが取られています。
しかし、バランスが崩れて、吸収が追いつかず、水分が異常に外へ漏れると、皮下に水分がたまり、「むくみ」が出現します。
むくみの原因:①一時的なむくみ(生理的浮腫)
病気ではなくても、人は生活をしているとむくむことはあります。しかし、特に病気ではないため、時間とともに改善することが多いことが多いです。
・長塩分のとりすぎ
・時間立ちっぱなし・座りっぱなし
・月経前(女性ホルモンが関係)
これらは、それぞれの理由によって、体の水分が一時的に偏っていることが原因です。
むくみの原因:②病気が原因のむくみ
むくみが続く場合、次のような病気が隠れていることがあります。
腎臓の機能低下(慢性腎臓病:CKD)
腎臓が正常に働かないと、余分な水分や塩分を排出できず、体内に溜まってむくみを引き起こすことがあります。
腎臓の糸球体(尿を作るところ)の障害により、普通は出ない「たんぱく質」が尿中に大量に漏れ出ます(蛋白尿)。そうすると、血液中のタンパク質の濃度が低下・薄くなるため、血管の中に水分を保てなくなってしまいます。そうすると血管の外に水分が出てしまい、むくみが発生します。
蛋白尿が多く出ている状態をネフローゼ症候群と良い、今まで何もむくみが全く無かった人が急にむくみを自覚することがあります。尿検査で大量の蛋白尿(>3.5g/日)が出ているかを確認します。
心不全
心臓の機能が低下すると、血液(水分)をうまく全身に送れなくなります。
そうすると、血管内に血液が通常以上に溜まります。
必要以上の血液量に耐えられなくなった血液が、血管から外に出て、むくみを発生させます。
特に両方の足にむくみが出やすいです。
深部静脈血栓症
下肢の静脈内に血の塊(血栓)が出現すると、血管内の血液がスムーズに流れなくなります。
そうすると、血液がうまく流れないため、血管の中の圧(静脈圧)が上がります。
その結果、下肢にむくみや痛みが出現します。
これは、局所的な血管の異常なので、むくみは両足というよりは、片方の足にできやすいです。
血管の中に血液の塊があることは、いつかその塊が移動し、肺の血管をつまらせてしまう可能性があります。
そうすると呼吸がうまくできず、肺塞栓という病気になり、命に関わる状態になってしまいます。
リンパ浮腫(Lymphedema)
リンパ管は、血管から漏れ出た水分を回収し、静脈に戻す役割をしています。しかし、そのリンパ管がなんらかの原因で詰まると、むくみを発生させます。
リンパ浮腫は、押してもへこまない浮腫(非圧痕性浮腫)であり、皮膚が厚くなっていることが多いです。
対策としては、弾性ストッキングを履いて、リンパ管の流れを良くすることが治療になります。
また、乳がんの治療(手術や放射線)後に、腕がむくんでしまうこともあり、このリンパ浮腫が原因です。
まとめ
一時的なむくみは、自然な現象であることが多いです。
両方のむくみは、腎臓や心臓、リンパの疾患を疑いましょう。
片方のむくみは、血管の疾患を疑いましょう。
むくみはただの疲れではない場合もあります。「いつもと違うな」と感じたら、医療機関を受診してみましょう。