糖尿病と睡眠時無呼吸症候群

糖尿病と睡眠時無呼吸症候群

糖尿病の方は睡眠時無呼吸症候群にも注意が必要です。睡眠時無呼吸症候群は、眠っている間に呼吸が止まったり浅くなったりする病気です。代表的な症状は、体のだるさ、日中の眠気、いびきなどですが、実は糖尿病とも深く関係しています。

特に、2型糖尿病の方は内臓脂肪、肥満、インスリン抵抗性などが背景にあることが多く、睡眠時無呼吸症候群を合併しやすいとされています。

これまでの解析や研究でも、2型糖尿病の方では睡眠時無呼吸症候群が高頻度に認められることがわかっています。

なぜ、2型糖尿病と睡眠時無呼吸症候群は合併しやすいのか?

糖尿病と睡眠時無呼吸症候群は、どちらも肥満や内臓脂肪と関係が深い病気です。体重が増えると、首や喉のまわりにも脂肪がつきやすくなります。すると、眠っている間に空気の通り道が狭くなり、いびきや無呼吸が起こりやすくなります。また、内臓脂肪が増えると、血糖値を下げるインスリンが効きにくくなります。その結果、血糖値が上がりやすくなり、2型糖尿病につながりやすくなります。

このように、肥満や内臓脂肪は、睡眠時無呼吸症候群と糖尿病の両方に関わる重要な要因です。

ただし、睡眠時無呼吸症候群と2型糖尿病の関係は、肥満だけでは説明しきれない部分もあります。睡眠時無呼吸では、睡眠の分断や低酸素状態が繰り返されることによって、炎症・酸化ストレス、交感神経の活性化などを通じて、インスリン抵抗性や血糖コントロールに悪影響を与える可能性があります。

睡眠中の低酸素は血糖を悪化させる可能性があります

睡眠時無呼吸症候群では、眠っている間に呼吸が止まると血液中の酸素が低下し、体の酸素不足に反応して交感神経が興奮し、さらに心拍や血圧だけでなくホルモンバランスにも影響を与えてしまいます。

交感神経が活発になると、体はストレスを受けたときと同じような状態になり、血糖を上げる方向に傾きます。また、睡眠が何度も分断されることで、インスリンの働きが悪くなる可能性もあり得ます。

そのため、薬の調整や食事・運動を頑張っているにもかかわらず、血糖値やHbA1cが改善されないという方は、睡眠時無呼吸症候群の有無を確認することがとても大切です。

糖尿病の方は睡眠時無呼吸症候群が隠れているかもしれません

糖尿病の方では、睡眠時無呼吸症候群があっても自覚されていない場合がよくあります。本人は眠っているため、睡眠中に呼吸が止まっているということにはなかなか気づきにくいからです。また、疲労感や日中の眠気があっても、年齢のせい、仕事が忙しいからなどと考えてしまい、睡眠の問題と気づかないことも多いです。

国際糖尿病連合の声明でも、糖尿病と睡眠時無呼吸症候群の関連に注意を促していて、両者が合併しやすいことも示されています。特に、肥満がある方、大きないびきを指摘されたことがある方、くびまわりが太い方、夜中に何度も目が覚めている方、朝起きても疲れが残っているなと感じる方、日中に強い眠気がある方は注意が必要です。

CPAP治療で血糖コントロールが改善する可能性も

睡眠時無呼吸症候群の代表的な治療として、CPAP療法があります。CPAPは睡眠中に鼻に装着したマスクから空気を送り込むことで、喉の空気の通り道を広げ、塞がらないようにする治療です。

CPAPが血糖コントロールに与える影響については、研究によって様々な結果があります。2018年の解析では、CPAPによるHbA1cの改善効果は明確ではないと報告されています。(Labarca G, et al. CPAP in patients with obstructive sleep apnea and type 2 diabetes mellitus: Systematic review and meta-analysis. 2018.)
一方で、2023年のランダム化比較試験を対象とした解析では、2型糖尿病と閉塞性睡眠時無呼吸を合併する患者さんにおいて、CPAP使用によってHbA1cが有意に低下し、使用時間が長いほど改善する可能性が示されています。(Shang W, et al. Effects of continuous positive airway pressure therapy on glucose metabolism in patients with obstructive sleep apnoea and type 2 diabetes: a systematic review and meta-analysis. 2023.)

つまり、CPAPを使えば必ず血糖が大きく下がるというわけではありませんが、睡眠時無呼吸症候群を適切に管理することは、糖尿病管理の一つとして重要な意味がある可能性があります。

糖尿病の管理では睡眠を見直すことが大切です

糖尿病の管理では運動・食事・薬物治療が中心となりますが、血糖コントロールには睡眠の質も関係します。睡眠時無呼吸症候群があると、夜間の低酸素や睡眠が分断されることによって、体が十分に休めず、血糖値が悪化する可能性があります。

特に、体重が増えてからいびきが大きくなった・家族から呼吸が止まっていると言われたことがある・朝から疲れが残っている・日中に眠気が強い・糖尿病の治療をしているのにHbA1cが改善しないという方は、睡眠時無呼吸症候群を合併していないか一度検査をご検討ください。