夜間に何度もトイレに起きる原因は睡眠の問題かもしれません。夜間に何度もトイレに起きることを夜間頻尿と言います。水分の取り過ぎ、年齢のせい、前立腺の問題などと思われることが多い症状ですが、実は睡眠の質や睡眠時無呼吸症候群が関係している場合があります。
睡眠時無呼吸症候群は、眠っている間に呼吸が止まったり浅くなったりする疾患です。症状としては日中の眠気、朝のだるさ、いびきなどがありますが、夜間頻尿も症状の一つと考えられています。夜間頻尿の原因は一つではなく、膀胱の問題や他にも睡眠障害などが関係しているとされており、医療期間でのの検査が必要な場合もあります。
なぜ睡眠時無呼吸症候群で尿が増えるのか

睡眠中に空気の通り道が狭くなり、呼吸が止まってしまうことがあります。呼吸が止まると胸の中で強い陰圧がかかり、心臓に負担がかかります。この時、心臓は血液の量が多くなったと判断し、心房性ナトリウム利尿ペプチドというホルモンを出します。
このホルモンは体から水分や塩分を尿として出す働きがあり、その結果、本来であれば夜間に尿量が減るはずなのに、夜間の尿量が増え、トイレに起きてしまう、起きる回数が増えるということがあります。睡眠時無呼吸症候群に伴う夜間頻尿は、胸腔内陰圧変化や心房性ナトリウム利尿ペプチドの増加が関係すると考えられています。(Umlauf MG, et al. Nocturia and nocturnal urine production in obstructive sleep apnea. Sleep. 1997.)
尿意で起きているのではなく、無呼吸で目が覚めているかも

夜間頻尿は尿意があるから目が覚めると考えがちですが、実は睡眠時無呼吸症候群では無呼吸によって睡眠が何度も浅くなってしまい、そこで尿意に気づきトイレに行っている場合があります。つまり、膀胱だけの問題ではなく、睡眠が分断されているということが夜間頻尿の原因になっている場合があるんです。
本人はトイレが近いなと感じている場合でも、実際は睡眠時無呼吸症候群があることによって何度も起きてしまっているという可能性があります。特に睡眠中の無呼吸を指摘された方、朝のだるさ、大きないびきなどがある方で、夜間に2回以上トイレに起きる場合は、睡眠時無呼吸症候群があるかもと考える必要があります。
夜間頻尿は睡眠時無呼吸症候群のサインになることがあるかもしれません。夜間頻尿は睡眠時無呼吸症候群の患者さんで見られる症状の一つです。2023年の研究では、睡眠時無呼吸症候群の重症度が高くなるほど夜間頻尿が増加すると報告されています。(Di Bello F, et al. Nocturia and obstructive sleep apnea syndrome. Sleep Med Rev. 2023.)
また、女性の睡眠時無呼吸症候群では、夜間頻尿が症状として目立つことがあります。女性は典型的な大きないびきというよりも、夜間頻尿や不眠感などが前面に出ることが多く、睡眠時無呼吸症候群と気づかない場合も多くあります。
CPAP治療で夜間頻尿が改善することも

睡眠時無呼吸症候群が夜間頻尿の原因になっている場合、CPAPという治療によって夜間頻尿が改善する場合があります。CPAPは睡眠中に鼻に装着したマスクから空気を送ることにより、喉の空気の通り道がふさがらないように支える治療です。CPAP治療によって無呼吸が減ることにより、夜間の低酸素、胸腔内の圧力変化、睡眠の分断が改善しやすくなります。
その結果、トイレに起きる回数が減るという可能性があります。CPAP治療と夜間頻尿に関する研究では、閉塞性睡眠時無呼吸症候群の患者さんで、CPAP治療により夜間にトイレへ起きる回数や夜間尿量が減少する可能性が示唆されています。(Wang T, et al. The Efficacy of Continuous Positive Airway Pressure Therapy on Nocturia in Patients With Obstructive Sleep Apnea: A Systematic Review and Meta-Analysis. Int Neurourol J. 2015.)
ただし、夜間頻尿の原因は一つではありません。過活動膀胱、前立腺肥大、糖尿病、心不全、寝る前の水分摂取、薬物の影響など、様々な要因が関係しています。そのため、全ての夜間頻尿が睡眠時無呼吸症候群によるものではないことは覚えておいてください。
このような方は睡眠時無呼吸症候群の検査を
夜間頻尿がある方で、以下のような症状がある方は睡眠時無呼吸症候群が隠れているかもしれません。
大きないびきを指摘されたことがある。夜間に2回以上トイレに起きる、朝起きても疲れが取れない、日中に眠気が強い、寝ている間に息が止まっていると言われたことがある。
このような場合は、泌尿器の病気だけではなく、睡眠時無呼吸症候群が隠れている可能性があるということを覚えておいてください。
