花粉症・アレルギー性鼻炎
アレルギー性鼻炎は、特定の物質に反応して発症する炎症性の疾患です。その中でも、花粉症は花粉によるアレルギー反応のことを指します。この反応は、身体の防御機構としての免疫システムが、花粉などの外来物質(抗原)に過敏に反応してしまうことが原因で、多くの人々に不快な症状を引き起こします。
主な症状
- 目のかゆみ・充血・涙目・異物感
- 連続するくしゃみ
- 鼻水や鼻閉
- 頭痛
- 喉のかゆみや乾き
花粉症やアレルギーの原因
季節性アレルギーの花粉飛散時期
通年性アレルギー性鼻炎の主な原因:
- ペットの毛やフケ、特に犬や猫
- ダニやハウスダスト
- カビ
食物アレルギー:
食べ物によるアレルギー反応は果物の他、特定の魚、肉、ナッツなどが引き起こすこともあります。重症になると、喉が腫れて呼吸困難を引き起こすこともあるので、注意が必要です。
検査方法
採血にて、よくある36種類のアレルギー源からどのアレルギーがあるかを診断する検査を導入しております。:MAST36
(保険診療で、約7000円程度)
ご自身にどんなアレルギーがあるのか理解をしていただき、今後のアレルギー発症から回避することが出来ます。
治療
原因となるアレルゲンの接触を避けることが出来るなら、理想的です。
そのためには、花粉のシーズンには外出を控える、窓を閉める、帰宅後は体や髪を洗うなどの対策が有効です。
十分な睡眠やストレスの軽減は、アレルギー反応を緩和することがあります。
アレルギーを避けることが難しい場合、内服薬・点鼻薬・点眼薬で症状を和らげることができます。
①内服薬
花粉症・アレルギー性鼻炎・アレルギー性結膜炎は、内服で治療する事がですが、内服薬にも種類があります。
・抗ヒスタミン薬
抗ヒスタミン薬によって、眼のかゆみ、鼻水、皮膚のかゆみ等の症状が緩和できます。
しかし、抗ヒスタミン薬は、眠くなる成分が入っており、物によって眠気の強さが変わります。
基本的には、鼻水などを抑える効果が強いほど、眠気が強い傾向があります。
車の運転をする方には、眠気が出にくい抗ヒスタミン薬を選んで処方することが多いです。
先発品名(一般名) | |
眠気が弱い (眠くなりにくい) | アレグラ(フェキソフェナジン) クラリチン(ロラタジン) デザレックス(デスロラタジン) ビラノア(ビラスチン) |
少し眠くなる | アレジオン(エピナスチン) タリオン(ベポタスチンベシル) ザイザル(レボセチリジン) |
眠気が強い (眠くなりやすい) | アレロック(オロパタジン) ルパフィン ジルテック(セチリジン) |
・ロイコトリエン拮抗薬
ロイコトリエン受容体拮抗薬は、アレルギー性鼻炎に効果があり、鼻づまり症状を改善するためによく使用されます。
- オノン(プランルカスト)
- キプレス・シングレア(モンテルカスト)
・ステロイド
- セレスタミン
- プレドニン
症状の改善しない重症のアレルギー性鼻炎に対してステロイド薬の内服を行います。ステロイドの内服は副作用があるため、一週間程度の短い期間の使用とします。
・漢方
漢方薬は、西洋薬と比較すると効果が優しいです。効果が優しい分、副作用の心配も少ないので、妊婦の方や授乳中のに処方することがあります。
小青竜湯(しょうせいりゅうとう):鼻水を抑える効果があるとされています。
葛根湯加川芎辛夷
麻黄附子細辛湯
②点鼻薬
ステロイド点鼻薬
ステロイド点鼻薬には即効性はないですが、長期間使用すると、効果が出てくる薬剤です。目安として、3~5日程度使用すると効果を実感できることが多いです。
最初は効果を実感できなくても、使い続けるようにしてみてください。
・1日1回点鼻 | |
アラミスト | ミスト状(液だれする)。刺激強め。 |
ナゾネックス | ミスト状(液だれする)。刺激強め |
エリザス | パウダー状(液だれしない)。刺激弱め。 |
・1日2回点鼻 | |
フルナーゼ |
抗ヒスタミン薬点鼻薬
- リボスチン点鼻薬
- ザジテン点鼻
即効性があるため、ステロイド点鼻薬よりすぐ治療効果を実感しやすいです。
しかし、内服薬と同じ成分のため、眠気を誘発する可能性があります。
ケミカルメディエーター遊離抑制点鼻薬
- インタール点鼻薬
効果が優しいこと、古くから使われており安全性が確保されていることから、妊婦さんや授乳中の方に処方することが可能です。
③点眼薬
抗アレルギー点眼薬(ケミカルメディエータ遊離抑制薬・抗ヒスタミン薬点眼)を第一に使用します。
それでも治療効果が不十分な際には、ステロイド点眼薬・免疫抑制点眼薬を検討します。
ケミカルメディエイター遊離抑制薬
効果が強くないため、症状が軽い時に使用する事が多いです。
- インタール点眼
- リザベン点眼・トラメラス点眼(トラニラスト)
- アレギサール点眼・ペミラストン点眼(ペミロラスト)
- ケタス点眼(イブジラスト)
- ゼペリン点眼(アシタザノラスト)
抗ヒスタミン点眼
同じ成分の内服薬と比較して、眠気は少ないです。
- ザジテン点眼液0.05%(ケトチフェンフマル)
- アレジオン・アレジオンLX(エピナスチン)
- リボスチン点眼液0.025%(レボカバスチン)
- パタノール点眼液0.1%(オロパタジン)
ステロイド点眼
症状が重度の場合に使用します。
- オドメール(フルメトロン)
- リンデロン
- オルガドロン
④舌下免疫療法
舌下免疫療法とは、舌下から少量のアレルギーの元を体内に入れて、徐々に免疫を付けさせる方法です。
以前は、注射による皮下免疫療法がありましたが、舌下による治療の方が、簡単であり継続率が高いため、現在では舌下免疫療法が主流となっています。
舌下免疫療法にて治療できるアレルギーは、現在ではスギアレルギー(シダキュア)と、ダニアレルギー(ミティキュア)の方が対象になります。
注意点としては、治療期間が長く、3-5年程度かかります。
アレルギーの元を体内に入れるため、アレルギー症状が出ている時期ではなく、症状が出ていない時期から始めることをおすすめしております。
※現在スギアレルギーの舌下療法に使用するシダキュア2000が出荷調整中であり、タイミングによっては治療を開始できない場合もございますので、ご了承ください。