旦那さんのいびきがうるさいと感じたら|家族ができる睡眠時無呼吸症候群の受診のすすめ方

旦那さんのいびきをなんとかしたい 症状

外来をしていると、生活習慣病や健康相談で来られた患者さんから「いびきがうるさくて眠れない」、あるいは「家族にいびきを指摘された」と相談を受けることがあります。

実はそのいびきは、単なる音の問題ではなく「睡眠時無呼吸症候群」という治療が必要な病気のサインかもしれません。そして、最初にそのサインに気づけるのは、隣で眠っているご家族なんです。

今回は、いびきの裏に隠された病気の可能性と、ご家族としてどのように受診を勧めればよいかをお伝えさせていただきます。

ただのいびきと「病気のいびき」の違い

問題になるいびきとは

いびきそのものは、多くの方にありふれた症状です。
お酒を飲んだ日や疲れが溜まっている時、風邪で鼻が詰まっている時など、一時的にいびきが出るのはそれほど心配ありません。

問題なのは、大きないびきをかいて呼吸が止まってしまうタイプのいびきです。
「ガーッ」といういびきがしばらく続いた後に急に静かになり、数秒後に「ガッ」と苦しそうになって呼吸が再開する。これが、隣で見ているご家族が「息が止まっているよね」と不安になるサインです。

そしてこれこそが、睡眠時無呼吸症候群(SAS)を疑うべき典型的なサインなんです。
つまり「うるさい」ということよりも「途中で止まる」といういびきの方が、医学的にはとても注意が必要な状態です。

睡眠時無呼吸症候群とはどんな病気?

睡眠時無呼吸症候群の診断基準

睡眠時無呼吸症候群は、英語で「Sleep Apnea Syndrome」と呼ばれ、その頭文字をとって「SAS(サス)」とも呼ばれます。これは、眠っている間に呼吸が止まったり、浅くなったりすることを繰り返す病気です。

医学的な定義は以下の通りです:

  1. 無呼吸:10秒以上の呼吸停止状態
  2. 低呼吸:呼吸が浅くなり、酸素濃度が低下している状態

これらが1時間あたり5回以上起こると、睡眠時無呼吸症候群と診断されます。重症の方になると、1時間あたり30回以上、つまり一晩のうちに何百回も呼吸が止まっているケースもあり得るのです。

最も多いタイプは、喉の奥が物理的に塞がってしまう「閉塞性睡眠時無呼吸症候群」です。これは眠っているときに舌の付け根や喉の組織が落ち込み、空気の通り道を塞いだり狭くしたりすることで起こります。

呼吸が止まると、体内の酸素が不足します。すると脳が「苦しいから起きて」と指令を出し、本人は寝ているつもりでも、実は脳が一瞬起きて呼吸を再開させています。

これを一晩に何百回と繰り返すと、たとえ何時間もベッドの中で眠っていたとしても、実は脳と体は全く休まっていないという状況に陥ります。「しっかり寝ているはずなのに、朝からシャッキリしない」というのは、脳が休めていないという重要なサインかもしれません。

ご家族だからこそ気づける危険なサイン

睡眠時無呼吸症候群のとても難しいところは、ご本人ではなかなか気づきにくいという点です。眠っている最中に呼吸が止まっていることは自分では分かりづらいため、周囲の方による気づきがとても大切になります。

以下のようなことに心当たりがあれば、一度調べてみることをお勧めします。

夜間のサイン
・途中で呼吸が止まる
・呼吸が止まった後、苦しそうに「ガッ」と息を吹き返す
・夜間に何度もトイレに起きる
・大きないびきをかいている

日中のサイン
・朝起きたときに疲れが取れず、頭がぼーっとする
・起床時に口の中が乾いている
・運転中に強い眠気に襲われる
・最近、集中力が落ちている

特に運転中の居眠りは、他人を巻き込む重大な事故につながりかねません。最近、運転中に眠気でヒヤッとした経験があるなら、それはとても大切なサインです。

「いびきは大丈夫」というのは危険

いびきぐらいで病院なんてわざわざ行くのは、面倒くさいと思われるかもしれません。しかし、睡眠時無呼吸症候群を放置すると、全身の臓器にさまざまな悪影響を及ぼすことがわかっています。

睡眠時無呼吸症候群に注意が必要なのは、生活習慣病と深く関係しているためです。睡眠中に繰り返し酸素が低下するという状態は、体に大きなストレスを与えることで、血糖値や血圧を上げる要因となります。

その結果、以下のリスクが高まります:

  1. 生活習慣病の悪化
    (a) 高血圧症
    (b) 脂質異常症
    (c) 糖尿病
  2. 重大な疾患への進展
    (a) 心筋梗塞
    (b) 脳卒中

最終的には、命に関わる病気のリスクを高めることがわかっています。

血圧の薬を飲んでいるのに血圧がなかなか下がらない、あるいは糖尿病の数値が改善しないといった理由の背景には、実は睡眠時無呼吸症候群が隠れているのかもしれません。腎臓を守る上でも、血圧や血糖の管理は非常に重要です。

なぜ旦那さんは病院に行かないのか?

なぜ旦那さんは受診しないのか

ここまで読んで、一度は旦那さんを受診してほしいと思った方も多いことでしょう。しかし、いざ受診を勧めようとしても、ご本人さんが頑なに動かないというのはよくある話です。

理由はいくつか考えられます。

  1. 眠っている間のことなので、自覚がなく「自分は大丈夫だ」と思っている
  2. 仕事が忙しく、検査のために時間を割くことができないと思っている
  3. 特に男性の場合、「いびきくらいで病院に行くのは恥ずかしい」「大げさだ」というプライドが邪魔をしてしまう

ですから、頭ごなしに「病院に行って」と言っても、かえって意地になってしまうことがあります。

大切なのは、責めるのではなく「心配している」という気持ちを伝えることです。伝え方を工夫してみることで、「一度行ってみようかな」という気持ちを引き出すことが大切かと思います。

家族でできる角を立てない受診のすすめ方

これまで多くの患者さんとご家族を見てきた経験から、効果的だと感じている旦那さんやご家族への伝え方をお伝えします。

  1. いびきや呼吸を録音・録画して見せる
    これはとても効果的です。ご本人は自分のいびきを聞いたことがありません。スマートフォンで録音・録画したものを見せると、「自分がこんなに呼吸を止めているのか」と現実味を持って受け止めてくれます。最近はいびきの状態を記録するスマホアプリもあるので、そういったものを試してみるのもいいでしょう。
  2. 不満ではなく、心配を前面に出す
    「いびきがうるさくて眠れない」といった不満をぶつけてしまうと、相手は怒ってしまい、なかなか家族の話を聞いてくれません。責めるのではなく、「寝ている間に息が止まっているみたいで、見ていて怖くなった」と、ご家族のことを心配している気持ちを伝えてあげてください。そうすることで、ご本人は自然と受診してみようという気持ちになるかもしれません。
  3. 本人にとってのメリットを伝える
    「治療すると朝すっきりするらしいよ」「血圧も下がりやすくなるらしいよ」と、本人が得られるメリットをお伝えすると、受診につながりやすいです。「治す」というより「楽になる」という言葉の方が、行動につながる傾向があります。
  4. 健康診断のついでに誘ってみる
    いきなり「睡眠外来へ行こう」と言うと、ハードルが高く感じる方も多いです。健康診断や血圧の診察のついでに、いびきのことについても相談してみたら、とおすすめしてみるのも大事かと思います。

当院での検査・治療の流れ

実際に受診したらどんなことをするの?と疑問を持たれる方も多いです。
一般的な流れをご説明します。

まず外来で、問診やいびき、日中の眠気に関する自覚症状のテストをしていただきます。そこで睡眠時無呼吸症候群(SAS)が疑われる場合は、ご自宅でできる簡易検査を行っていただくのが一般的です。

これは手の指や鼻に小さなセンサーをつけて一晩お休みいただくもので、睡眠中の呼吸の状態や血液中の酸素量を測定します。普段通りご自宅で眠れるため、日常生活への負担はほとんどありません。

簡易検査の結果、さらに詳しい評価が必要と判断された場合には、精密検査(終夜睡眠ポリグラフ検査)を受けていただくことがあります。

診断確定後の治療については、以下の通りです:

  1. 重症の方
    睡眠中に鼻へ装着したマスクから空気を送り込み、気道を確保する「CPAP(シーパップ)」という治療を行います。治療が合う方では、翌朝のすっきり感や日中の眠気の改善を実感されることがあります。
  2. 軽症・中等症の方
    マウスピースの作成や、寝姿勢の工夫などをご提案することもあります。

当院の強みは、睡眠時無呼吸症候群だけを切り離して診るのではなく、その背景にある高血圧や糖尿病、脂質異常症といった生活習慣病、さらには腎臓の状態までトータルで管理できる点にあります。

院内で血液検査、尿検査、レントゲン、心電図、エコー検査が可能ですので、体全体を見ながら一人ひとりに合った治療方針をご提案します。

調布・三鷹エリアでいびきが気になったら、当院へ

調布市つつじヶ丘駅前内科クリニック・いびき・睡眠時無呼吸症候群専門外来

いびきは体からの大切なサインですので、「少しうるさいな」と感じたときが、旦那さんそしてご家族のみんなの健康を守るきっかけになります。本人が気づけないことを一番近くで見ているご家族のあなたが教えてあげられる、それはご家族にしかできない大切な役割です。

焦る必要はありません。今日すぐに受診につながらなくても、「心配している」という気持ちを伝えてあげるだけで十分な一歩です。その上で少しでも気になることがあれば、どうぞお気軽に当院にご相談ください。

つつじヶ丘駅前内科クリニックは、京王線つつじヶ丘駅の南口から出てすぐ、バスロータリーの中にあります。仕事帰りにも立ち寄っていただきやすい立地です。ご予約はWebまたはLINEから24時間お取りいただけます。

当院は、以下のエリアにお住まいの皆様の眠りと健康を、地域のかかりつけ医として支えております。(つつじヶ丘・柴崎・仙川・国領・調布・三鷹・狛江エリア)

気になる症状があれば一人で悩まず、まずは一度ご相談にいらっしゃってください。