健康診断で心電図異常を指摘された方へ|調布市の循環器内科

健康診断や人間ドックの結果に「心電図異常」「不整脈」「要経過観察」「要精査(要再検査)」と書かれていて、不安になっていませんか。自覚症状がないことも多く、「すぐ病院へ」と言われても戸惑う方は少なくありません。多くはただちに危険なものではありませんが、なかには追加の検査や経過観察が必要なものもあります。指摘された内容をそのままにせず、一度確認しておくことをおすすめします。

まず知っておきたいこと

心電図の所見でいちばん大切な視点は、実は所見の名前そのものよりも「その所見が、去年までと同じものか、それとも今年はじめて出てきた変化か」という点です。

同じ「心電図異常」という言葉でも、意味は大きく変わります。何年も前から変わらずある所見であれば、すでに体になじんだその人の“くせ”のようなもので、経過観察でよいことが少なくありません。一方、これまで指摘されたことがなかった所見が新しく現れた場合は、体の中で何か変化が起きているサインのことがあり、確認しておく価値が高まります。

だからこそ、過去の健診結果と見比べることがとても役に立ちます。心電図の波形やコメントが載った結果用紙を数年分そろえて見比べるだけで、「以前からあるもの」か「新しく出てきたもの」かが分かり、判断が一段とはっきりします。

以前から同じ所見か今年初めての変化かで心電図の見方が変わることを示す比較図

健診でよく指摘される心電図所見

健診の心電図でよく見られる所見には、次のようなものがあります。所見名だけで重症度は決まらず、症状・年齢・他の検査と合わせて総合的に判断します。

  • 期外収縮(上室性・心室性):脈が飛ぶ不整脈。健康な方にもよく見られ、多くは経過観察で問題ありませんが、頻度が多い場合や症状を伴う場合は確認が必要です。
  • 心房細動・心房粗動:脈が不規則になる不整脈。脳梗塞予防の観点から、見つかった場合は治療の要否を評価する必要があります。
  • ST-T変化:心筋の虚血(血流不足)や負担を示すことがある所見。症状やリスクに応じて追加検査を検討します。
  • 左室肥大(高電位):高血圧などによる心臓への負担を反映することがあります。
  • 脚ブロック・房室ブロック:電気の伝わり方の異常。程度により経過観察から精査までさまざまです。
  • QT延長:まれに危険な不整脈と関連することがあり、薬剤の影響なども含めて確認します。
健診の心電図所見を経過観察・要確認・要評価の3段階に整理した一覧図

症状がなくても受診した方がよい理由

心電図異常のなかには、症状が出る前の段階でも管理を始めたほうがよいものがあります。代表例が心房細動です。心房細動は自覚症状がないまま進むことがあり、健診で偶然見つかることも珍しくありません。放置すると脳梗塞のリスクが高まりますが、心房細動のある方は脳梗塞リスクがおよそ5倍になる一方、適切な抗凝固治療でそのリスクを大きく減らせることが分かっています(2024 ESC/EACTS 心房細動ガイドライン)。「症状がないから大丈夫」とは限らないのが、心臓の病気の難しいところです。

受診の際にお持ちいただきたいもの

  • 健康診断・人間ドックの結果用紙(心電図の波形やコメントが記載されたもの。過去の結果があれば併せて)
  • 現在服用中のお薬(お薬手帳)
  • これまでの病歴(高血圧・糖尿病・脂質異常症・心臓病などの指摘があれば)

過去の健診結果と見比べることで、「以前からある所見か」「新しく出てきた変化か」が分かり、判断の大きな助けになります。

当院での検査

つつじヶ丘駅前内科クリニックの外観

結果用紙の内容と症状をもとに、必要な検査を選んで行います。

  • 12誘導心電図:あらためて心電図をとり、健診時の所見を確認します。
  • ホルター心電図(24時間心電図):ときどきしか出ない不整脈や、日常生活中の脈の乱れを確認します。健診の一瞬の心電図では捉えられない異常を見つけるのに有用です。
  • 心臓超音波検査(心エコー):左室肥大やST-T変化の背景に、心肥大・弁膜症・心機能低下などがないかを確認します。(火曜日のみ)
  • 胸部レントゲン・血液検査:心臓の大きさや、貧血・甲状腺・腎機能・脂質・血糖などを確認します。

より専門的な検査や治療が必要と判断した場合は、連携医療機関へご紹介します。

当院で対応できない場合

心臓の状態によっては、当院の設備では確定診断や治療が難しいことがあります。その場合は、できるように見せることはせず、適切な医療機関へご紹介します。

  • カテーテル検査・治療(アブレーションなど)が必要な場合
  • ペースメーカーなどの植え込み治療が必要な場合
  • 冠動脈CTや心臓MRIなどの精密画像検査が必要な場合
  • 入院での精査・治療が必要な場合
  • 緊急の処置が必要と判断される場合(救急医療機関の受診が必要です)

これらが必要と判断したときは、連携する専門医療機関へおつなぎします。

火曜は循環器専門医が健診結果のご相談に対応します

つつじヶ丘駅前内科クリニックでは、火曜日に循環器専門医が外来を担当しています。京王線つつじヶ丘駅から徒歩1分。健診で心電図異常・不整脈・要精査を指摘された調布・つつじヶ丘周辺の方は、結果用紙をお持ちのうえご相談ください。血圧・コレステロール・腎機能なども併せて指摘された方は、水曜・木曜も比較的ご相談いただきやすい曜日です。ご予約はLINE・WEBから承っています。

よくある質問

Q. 「要経過観察」でも受診した方がよいですか?
A. 「要経過観察」は、ただちに治療は不要でも変化を見ておくべき、という意味のことが多い所見です。とくに新しく出てきた所見や、高血圧・糖尿病などのリスクがある方は、一度確認しておくと安心です。

Q. 毎年同じ「心電図異常」が出ますが、放置していて大丈夫ですか?
A. 以前から変わらない所見であれば経過観察でよいことも多いですが、一度も精査していない場合は、内容の確認をおすすめします。過去の結果をお持ちいただくと判断しやすくなります。

まとめ

健診の「心電図異常」は、そのほとんどがただちに危険なものではありません。過度に不安になる必要はありません。ただし「異常なし」でもなく、なかには一度確認しておきたい所見や、症状がなくても評価しておきたい所見もあります。

見分けの手がかりになるのが「以前からある所見か、今年はじめての変化か」という視点です。過去の結果用紙をそろえてお持ちいただくと、判断がぐっとしやすくなります。強い胸の痛みや失神など緊急のサインがあるときは、迷わず早めの受診・救急受診をご検討ください。そうした症状がなくても、指摘された所見はそのままにせず、一度内容を確認しておくと安心です。

つつじヶ丘駅前内科クリニックでは、心電図・ホルター心電図・心エコーなどで健診結果のご相談に対応しています。気になる所見がある方は、結果用紙をお持ちのうえお気軽にご相談ください。

参考文献

  • Van Gelder IC, et al. 2024 ESC Guidelines for the management of atrial fibrillation. Eur Heart J. 2024;45(36):3314–3414.
  • Spotlight on the 2024 ESC/EACTS management of atrial fibrillation guidelines: 10 novel key aspects. Europace. 2024;26(12):euae298.

執筆者

つつじヶ丘駅前内科クリニック院長
医学博士・腎臓専門医・透析専門医・内科認定医
小出高彰

※火曜日の胸痛・循環器のご相談は、循環器専門医が担当します。