生活習慣病外来
健診の数値は「その年の点」ではなく「数年の線」で見ています
健康診断の結果票を見て、いちばん気になるのは赤字で書かれた項目だと思います。ただ、診察室で私たちがまず確認するのは、赤字かどうかよりも「去年、一昨年と比べてどう動いたか」です。
同じLDLコレステロール150mg/dLでも、3年前から150前後で横ばいの方と、3年前は110だった方とでは、意味も、その後の進め方もまったく違います。血圧も、腎臓の数値も同じです。1回の数値だけで病気を決めることはできませんが、変化の向きが分かると、今すぐ治療が必要なのか、生活を整えて数か月後に見直せばよいのかが、かなりはっきりします。
当院の生活習慣病外来は、過去の健診結果をお持ちいただき、その線を一緒に確認するところから始まります。「まだ薬は飲みたくない」というお気持ちも、そのままお話しください。数値と経過を見たうえで、今どこまで必要かを一緒に決めていきます。


こんな健診結果を指摘されていませんか
- 血圧が高いと言われた、家で測ると数値が違う
- LDLコレステロール(悪玉)が高いと言われた
- 中性脂肪が高い、HDLコレステロールが低い
- 血糖値やHbA1cが高いと言われた
- 尿蛋白(+)を指摘された、尿潜血も出ている
- クレアチニンが高い、eGFRが低いと書かれていた
- 尿酸値が高い、以前に足の親指が腫れたことがある
- 腹囲やBMIでメタボリックシンドロームと判定された
- 結果票に「要再検査」「要精密検査」「要医療」と印字されていた
- 数年前から少しずつ数値が悪くなっているが、症状はまったくない
いずれも、症状がないまま進むことが少なくない項目です。逆に言えば、症状が出る前に手を打てる時期でもあります。
健診結果のどこから相談を考えるか
日本の健診では、厚生労働省の「標準的な健診・保健指導プログラム」で、生活習慣の見直しを考える目安(保健指導判定値)と、医療機関への相談をすすめる目安(受診勧奨判定値)が示されています。おおよその目安は次のとおりです。
| 検査項目 | 生活を見直す目安 | 医療機関に相談する目安 |
|---|---|---|
| 収縮期血圧(上) | 130mmHg以上 | 140mmHg以上 |
| 拡張期血圧(下) | 85mmHg以上 | 90mmHg以上 |
| LDLコレステロール | 120mg/dL以上 | 140mg/dL以上 |
| HDLコレステロール | 39mg/dL以下 | 34mg/dL以下 |
| non-HDLコレステロール | 150mg/dL以上 | 170mg/dL以上 |
| 中性脂肪 | 空腹時150mg/dL以上(随時175mg/dL以上) | 300mg/dL以上 |
| 空腹時血糖 | 100mg/dL以上 | 126mg/dL以上 |
| HbA1c | 5.6%以上 | 6.5%以上 |
| eGFR | 60未満 | 45未満 |
| 尿蛋白 | ─ | (+)以上、または(±)が続く場合 |
出典:厚生労働省「標準的な健診・保健指導プログラム(令和6年度版)」
この表は、あくまで多くの方に共通する目安です。年齢、体格、他の病気、家族歴、喫煙の有無によって、同じ数値でも意味は変わります。受診勧奨の目安を超えていても、その日から薬を飲むとは限りません。逆に目安の手前でも、複数の項目が同時に引っかかっている場合は、早めに一度確認したほうがよいこともあります。


早めの受診をおすすめする数値と症状
次のような場合は、経過観察ではなく、日を置かずにご相談ください。
早めに受診をご検討いただきたい状態
- 上の血圧が160mmHg以上、または下の血圧が100mmHg以上が続いている
- 血糖値やHbA1cが高く、のどの渇き、尿の量が増える、体重が減るなどの変化がある
- 尿蛋白(+)以上と、クレアチニン上昇・eGFR低下の両方を指摘された
- 足のむくみが数日以上続く、靴下の跡が深く残る
- 尿が泡立って消えにくい、尿の色がいつもと明らかに違う
救急医療機関の受診が必要な場合
- 突然の胸の痛み、締めつけられる感じ、冷や汗を伴う息苦しさ
- 片側の手足の力が入らない、ろれつが回らない、顔の片側がゆがむ、突然の激しい頭痛
- 急に息が苦しくなり、横になると悪化する
- 上の血圧が180mmHg以上、または下の血圧が110mmHg以上で、頭痛・吐き気・意識のもうろうを伴う
これらは血圧やコレステロールの相談ではなく、時間が結果を左右する状態です。迷われた場合は、当院の診療時間内であればまずお電話でご相談ください。診療時間外は救急医療機関(#7119、東京消防庁救急相談センター)へご相談ください。


当院で対応している主なご相談
高血圧
血圧は、測る場所と時間で変わります。診察室では高く、家では落ち着いている方(白衣高血圧)、その逆の方(仮面高血圧)もいるため、当院では家庭血圧を重視しています。
日本高血圧学会の「高血圧管理・治療ガイドライン2025」では、降圧の目標は原則として上が130mmHg未満、下が80mmHg未満に整理されました。同学会は、上の血圧が10mmHg下がると脳卒中や心臓病がおよそ2割減ること、日本では年間およそ17万人が高血圧に関連する病気で亡くなっていることも示しています。数値そのものより、その先の脳・心臓・腎臓を守ることが目的です。
朝と晩、それぞれ決まった条件で2週間ほど測った記録があると、初診時の判断が大きく変わります。記録用紙やアプリのままお持ちください。
脂質異常症
日本動脈硬化学会の「動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版」では、LDLコレステロール140mg/dL以上、HDLコレステロール40mg/dL未満、中性脂肪は空腹時150mg/dL以上(食後などの随時採血では175mg/dL以上)が脂質異常症の基準とされています。
ただし、LDLの数値だけで治療を決めることはありません。年齢、性別、血圧、血糖、喫煙、家族歴を合わせて、10年間で心筋梗塞や脳梗塞が起こる見込みを推計し、その方に必要な管理目標を決めます。同じLDL160mg/dLでも、他にリスクのない方と、糖尿病や喫煙がある方とでは方針が変わります。
血糖値・HbA1cの異常、糖尿病
HbA1cは過去1〜2か月の血糖の平均を反映する指標です。健診で6.5%以上を指摘された場合、その場で確定するのではなく、あらためて採血を行い、他の検査と合わせて判断します。5.6〜6.4%の範囲は、生活の工夫で戻せる可能性がある一方、放置すると数年かけて進むこともある時期です。
血糖の管理は、目の合併症、腎臓、神経、そして心臓・脳の血管を守るために行います。当院では、体重、腹囲、食事のパターン、飲酒、睡眠を含めて確認し、治療が必要な場合の選択肢もご説明します。
高尿酸血症・痛風
尿酸値が高い状態は、関節の発作だけでなく、腎臓の負担や生活習慣全体と関係します。発作が起きていない時期の対応が結果を左右するため、健診で指摘された段階でのご相談をおすすめします。
肥満・メタボリックシンドローム
腹囲やBMIの指摘は、それ自体が病気というより、血圧・血糖・脂質が同時に動きやすい状態のサインです。体重を数kg減らすだけで複数の数値が改善する方もいます。減量が目的というより、続けられる形を一緒に探す時間だとお考えください。
慢性腎臓病(CKD)・尿蛋白・腎機能低下
尿蛋白やeGFRの低下は、生活習慣病の結果として現れることがあります。日本透析医学会の2024年末の集計では、その年に透析を導入した方の原因疾患は、糖尿病性腎症が37.6%で最も多く、次いで腎硬化症(高血圧と関連の深い腎障害)が19.1%でした。合わせると半数を超えます。
つまり、血圧と血糖の管理は、そのまま腎臓を守る治療でもあります。当院は腎臓専門医・透析専門医が診療しているため、生活習慣病の数値と腎臓の状態を切り離さずに評価できます。尿蛋白の量、血尿の有無、eGFRの下がり方を合わせて確認し、専門的な検査が必要かどうかを判断します。
▶ 慢性腎臓病について詳しくはこちら
▶ タンパク尿・蛋白尿について
▶ 血尿・尿潜血について


睡眠と血圧の関係もあわせて確認します
いびきが強い、日中の眠気が強い、朝の血圧が特に高い、薬を飲んでも血圧が下がりにくい。こうした場合、睡眠中の呼吸の状態が関係していることがあります。当院ではご自宅でできる簡易検査に対応していますので、当てはまる方はご相談ください。
薬の前にできること、薬と一緒に続けること
生活習慣の見直しは、薬の代わりというより、薬の効きを支える土台です。国や学会が示している目安のうち、外来でよくお伝えしているものを挙げます。
- 食塩:日本高血圧学会は、高血圧のある方で1日6g未満を目安としています。日本人の平均摂取量はおよそ10g/日とされており、まずは汁物と麺類の汁を残すところからで十分です
- 身体活動:厚生労働省「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」では、成人は歩行程度以上の活動を1日60分(およそ8,000歩)、筋力トレーニングを週2〜3日が推奨されています
- 体重:現体重の3〜5%を数か月かけて減らすだけでも、血圧・血糖・中性脂肪が動くことがあります
- お酒とたばこ:量や本数を一緒に確認し、無理のない目標を決めます
すべてを同時に始める必要はありません。続けられる一つを決めて、次の受診で結果を見る。この繰り返しが、いちばん確実です。


当院で行える検査
- 診察室血圧の測定、家庭血圧記録の確認
- 血液検査(血糖、HbA1c、脂質、肝機能、腎機能、尿酸、電解質など)
- 尿検査(尿蛋白、尿潜血、尿蛋白/クレアチニン比などの定量評価)
- 心電図検査
- 胸部レントゲン検査
- 腹部・腎臓の超音波検査
- 酸素飽和度の測定
- 睡眠時無呼吸症候群の自宅簡易検査
- 必要に応じた専門医療機関へのご紹介
初診では、多くの場合その日のうちに採血・尿検査・血圧測定まで行い、結果を踏まえてご説明します。項目によっては後日のご説明となります。


当院で対応できないこと
すべてを当院で完結できるわけではありません。次のような場合は、速やかに連携医療機関へおつなぎします。
- CT、MRI、核医学検査などの画像検査:当院では実施していません
- 腎生検、心臓カテーテル検査、内視鏡検査:当院では実施していません
- 入院を要する治療、透析の導入と維持透析:病院での対応が必要です
- 急性心筋梗塞、脳卒中、重症の感染症などの緊急対応:救急医療機関の受診が必要です
- 妊娠中・授乳中の方の薬物治療、専門的な内分泌疾患の精査:専門医療機関をご紹介します
診断の確定に高度な検査が必要と判断した場合は、その理由と紹介先の候補をお伝えしたうえで、紹介状をお渡しします。紹介後も、日常の管理を当院で続けていく形(かかりつけ医と専門医の並行受診)をとることが多くあります。
火曜・水曜・木曜の受診をご検討ください
生活習慣病の管理は、1回の受診で終わるものではなく、数か月に一度、無理なく続けられることが何よりも大切です。
当院では、週の中日にあたる火曜・水曜・木曜が比較的落ち着いており、お待ちいただく時間も短い傾向があります。月曜や金曜、土曜の午前は混み合いやすく、お仕事帰りや週末に集中しがちです。健診結果のご相談は、数値の推移や生活の状況を伺う時間が必要になりますので、できれば火曜・水曜・木曜にお越しいただくと、落ち着いてお話を伺えます。
| 診療時間 | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 9:00〜12:30 | ● | ● | ● | ● | ● | ● |
| 14:30〜18:00 | ● | ● | ● | ● | ● | ─ |
休診:土曜午後・日曜・祝日
定期的な通院を始める方は、火曜・水曜・木曜のいずれかを「自分の通院曜日」として決めてしまうと続けやすくなります。ご予約はLINE、WEB、お電話から承っています(予約優先制)。


受診の流れと、お持ちいただくとよいもの
- ご予約(LINE・WEB・お電話。予約優先制です)
- 受付、問診票のご記入
- 診察(健診結果と経過の確認、症状や生活のお話)
- 必要な検査(血圧、採血、尿検査、心電図、超音波など)
- 結果のご説明と、今後の方針の相談
- 次回の受診時期を決めて終了
お持ちいただきたいもの
- 健康保険証(マイナ保険証)
- 今年の健診結果(できれば過去2〜3年分もあると、変化が分かります)
- お薬手帳、サプリメントを飲んでいる方はその情報
- 家庭血圧の記録(つけている方)
- 他院からの紹介状(お持ちの方)
会計はキャッシュレス決済に対応しています。


よくある質問
症状が何もありませんが、受診する意味はありますか。 あります。血圧、脂質、血糖、腎機能の異常は、症状が出ないまま進むことが多い項目です。症状が出てからでは選べる手段が限られることもあるため、数値だけの段階でのご相談には意味があります。
受診したら、すぐ薬を飲むことになりますか。 必ずしもそうではありません。数値の程度、経過、年齢、他の病気の有無を確認したうえで、まず生活の見直しで様子を見るか、薬を併用するかを一緒に決めます。厚生労働省の資料でも、受診勧奨の目安を超えたからといって直ちに薬物治療が始まるわけではないと説明されています。
一度始めた薬は、一生やめられないのですか。 一律には言えません。体重や生活の変化、他の病気の経過によって、減量や中止を検討できる場合もあります。自己判断での中断は血圧や血糖の急な変動につながることがあるため、必ずご相談ください。
健診結果の紙だけ持って行ってもよいですか。 はい。結果票をお持ちいただければ、そこから確認できます。過去の分もあれば、変化まで見られます。
血圧、コレステロール、腎臓の数値を、まとめて相談できますか。 できます。これらは互いに影響し合うため、まとめて評価するほうが方針を立てやすくなります。当院は内科と腎臓内科を診療しており、腎臓の評価まで含めてご相談いただけます。
家族の健診結果について相談できますか。 一般的な数値の見方についてはご説明できますが、診断や治療の判断はご本人の診察が必要です。ご本人と一緒にご来院ください。
他院で治療中ですが、セカンドオピニオンとして相談できますか。 現在の治療内容や検査結果を確認したうえで、一般的な考え方をご説明することは可能です。通院先を変える前提でなくてもかまいません。
まとめ
健診で異常を指摘されても、その1回の数値だけで将来が決まるわけではありません。多くの場合、必要なのは「今すぐ何をするか」より「どの向きに動いているかを確かめること」です。
過度に不安になる必要はありませんが、数値が動き続けている場合や、複数の項目が同時に外れている場合は、一度確認しておくことをおすすめします。特に尿蛋白と腎機能の低下が同時にある場合は、早めの評価が役に立ちます。
調布市つつじヶ丘で、健診結果や生活習慣病についてご相談できる内科をお探しの方は、つつじヶ丘駅前内科クリニックへお越しください。京王線つつじヶ丘駅南口から徒歩1分、火曜・水曜・木曜は比較的落ち着いてお話を伺えます。


つつじヶ丘駅前内科クリニック
東京都調布市西つつじケ丘4丁目6-2 ル・ヴィザージュ109
京王線つつじヶ丘駅 南口徒歩1分
参考文献
- 日本高血圧学会「高血圧の10のファクト〜国民の皆さんへ〜」(高血圧管理・治療ガイドライン2025に基づく提言)https://www.jpnsh.jp/10_facts.html
- 日本高血圧学会「高血圧管理・治療ガイドライン2025(JSH2025)」2025年8月発行 https://www.jpnsh.jp/guideline.html
- 日本動脈硬化学会「動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版」https://www.j-athero.org/jp/jas_gl2022/
- 厚生労働省「標準的な健診・保健指導プログラム(令和6年度版)」https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000194155_00004.html
- 日本透析医学会「わが国の慢性透析療法の現況(2024年12月31日現在)」透析会誌 2025;58(12):524- https://docs.jsdt.or.jp/overview/
- 厚生労働省「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」https://www.mhlw.go.jp/content/001204942.pdf
- 厚生労働省 広報誌「厚生労働」2025年3月号 慢性腎臓病(CKD)について https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou_kouhou/kouhou_shuppan/magazine/202503_004.html
- 日本腎臓学会「エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン2023」https://jsn.or.jp/
