健康診断で異常を指摘されたら|判定の意味・急ぐサイン・再検査の受け方


健康診断の結果に「要再検査」「要精密検査」と書かれていて、そのままになっている。体調はいつもどおりで、どこも痛くない。だから、どうしても後回しになってしまう。
外来では、こうしたお話をよく伺います。健診で見つかる異常の多くは、症状が出るよりずっと前の段階で見つかったものです。つまり、まだ選択肢が多く残っている時期に見つかった、ということでもあります。
このページでは、健診結果の判定が何を意味するのか、どの項目がどのくらい急ぐのか、そして医療機関で実際に何を調べるのかを、項目ごとに整理しました。読み終えたときに「自分はどのくらいのペースで動けばよいか」が分かることを目標にしています。
健診結果でいちばん大切なのは、「今年の数値」より「去年との差」です
健診結果を拝見するとき、私たちが最初に確認するのは、実は「基準値からどれだけ外れているか」だけではありません。同じくらい重視しているのが、昨年・一昨年と比べてどう動いたかです。
たとえばeGFR(腎臓の働きの指標)が58だったとします。この数値だけを見れば、軽い低下です。しかし、3年前が85、2年前が74、昨年が66だったとすると、意味はまったく変わります。逆に、10年前からずっと58前後で安定している方であれば、緊急に何かをする状況ではないことが多いのです。
日本人間ドック・予防医療学会の判定区分でも、腎機能については「1〜3年の間にeGFRが40未満になる、または30%以上低下した場合は、腎臓専門医への紹介を考慮する」という考え方が示されています(日本腎臓学会 CKD診療ガイド2024に基づく注記)。低下の”速さ”そのものが情報だということです。
同じことが体重、血圧、HbA1c、LDLコレステロールにも当てはまります。ですから受診の際は、できれば過去2〜3年分の結果票をまとめてお持ちください。1枚より2枚、2枚より3枚のほうが、はるかに多くのことが分かります。


まず知っておきたい:健診の判定は「病名」ではなく「次の行動」の合図
健診結果票のA・B・C・Dといった記号は、病名ではありません。「次に何をすればよいか」を示す区分です。日本人間ドック・予防医療学会の判定区分(2026年4月1日改定)では、次のように整理されています。
| 判定 | 表示 | 意味するところ |
|---|---|---|
| A | 異常なし | 今回の検査範囲では問題は指摘されていない |
| B | 軽度異常 | 基準からわずかに外れているが、ただちに医療機関を受診する段階ではない |
| C | 要再検査・生活改善 | 時期を決めて検査をやり直す。生活習慣の見直しを併せて行う |
| D | 要精密検査・治療 | 医療機関で原因を調べる、または治療の必要性を判断する |
| E | 治療中 | すでに通院・治療中の項目 |
特定健診(40〜74歳)の結果票では、これとは別に「保健指導判定値」「受診勧奨判定値」という言葉が使われます。厚生労働省の標準的な健診・保健指導プログラム(令和6年度版)では、受診勧奨判定値を超えた=ただちに薬が始まる、という意味ではないことが、あらためて注記されています。
実際、日本高血圧学会は2024年に、この点について注意喚起を出しています。血圧であれば、収縮期160mmHg以上または拡張期100mmHg以上は速やかな受診が勧められる一方、収縮期140〜159mmHgまたは拡張期90〜99mmHgの範囲では、まず生活習慣の改善を試み、それでも下がらなければ受診、という段階的な考え方が示されています。
一度の異常が、そのまま病気を意味するわけではありません
検査値は、その日の体調で動きます。前日の飲酒、睡眠不足、脱水、激しい運動、女性では月経、風邪をひいた直後——いずれも複数の項目に影響します。だからこそ、多くの項目でまず「再検査」が指示されるのです。
一方で、繰り返し確認しても異常が続く場合や、複数の項目が同じ方向にずれている場合は、背景に何かがある可能性が高くなります。「一度で決めつけない。ただし、確かめないままにもしない」——これが健診異常への基本的な向き合い方です。
気になる項目から確認する
指摘された項目から、詳しい解説ページへお進みいただけます。
受診を急いだ方がよいサイン
以下は「この数値なら必ず重い病気」という意味ではありません。確認を先延ばしにしない方がよい目安としてご覧ください。
すぐに医療機関へ(当日〜数日以内)
- 収縮期血圧160mmHg以上、または拡張期100mmHg以上(頭痛、めまい、視力の変化を伴う場合はより急ぎます)
- 空腹時血糖126mg/dL以上かつHbA1c6.5%以上で、のどの渇き・尿の回数の増加・体重減少がある
- 胸の痛み、息切れ、動悸、失神があり、心電図異常も指摘されている
- 胸部レントゲンで陰影・結節を指摘された(特に喫煙歴のある方)
- 尿蛋白(2+)以上、または尿蛋白と尿潜血の両方が陽性
- eGFRが前年から大きく低下している、または顔・足のむくみ、尿の泡立ちが続く
- ヘモグロビンが10.0g/dL以下、または黒い便・強い倦怠感を伴う
- 白血球10,000/µL以上または3,000/µL以下、血小板10万/µL未満
数週間以内を目安に
血圧140〜159/90〜99mmHg、LDLコレステロール140mg/dL以上、HbA1c6.0〜6.4%、尿酸8.0mg/dL以上、肝機能の中等度上昇、eGFR45〜59、尿蛋白(+)など。生活習慣の見直しと並行して、一度は結果を持って相談してください。
生活の見直しから始めてよい範囲
血圧130〜139/85〜89mmHg、LDL120〜139mg/dL、中性脂肪150〜299mg/dL、BMI25以上など、軽度異常(B判定)にとどまる項目。ただし複数が重なっている場合や、毎年少しずつ悪化している場合は、早めのご相談をおすすめします。


項目別|数値の意味と、次にすること
以下の「基準範囲」は、日本人間ドック・予防医療学会の判定区分(2026年4月1日改定)に基づくものです。健診機関によって表記が異なる場合があります。


血圧の異常
基準範囲(A判定):収縮期129mmHg以下/拡張期84mmHg以下
高血圧の診断基準は、日本高血圧学会『高血圧管理・治療ガイドライン2025』でも従来どおり、診察室血圧140/90mmHg以上、家庭血圧135/85mmHg以上とされています。ただし2025年版では大きな変更点があり、降圧目標が原則として全年齢で診察室血圧130/80mmHg未満(家庭血圧125/75mmHg未満)に統一されました。以前は75歳以上の高齢者や一部の患者さんで目標が緩やかに設定されていましたが、130〜139/80〜89mmHgの範囲でも脳心血管病のリスクが上がるという研究結果を踏まえた改訂です。
健診の血圧は、慣れない場所・急いで来院・緊張といった条件が重なるため、実際より高めに出ることがあります。同学会の判定区分でも、血圧については健診機関での再検査より家庭血圧の測定が推奨されています。上腕で測るタイプの血圧計を用意し、朝(起床後1時間以内、排尿後、服薬前、座って1〜2分安静後)と夜(就寝前)に測って記録し、その記録をお持ちいただくのが、最も診療に役立ちます。
一方で、血圧が高い状態が続くと、脳卒中、心筋梗塞、心不全、慢性腎臓病のリスクが高まることが多くの研究で示されています。「自覚症状がない=問題がない」ではないのが、この項目の難しいところです。
血糖値・HbA1cの異常
基準範囲(A判定):空腹時血糖70〜99mg/dL かつ HbA1c 5.5%以下
判定の考え方は少し複雑で、空腹時血糖とHbA1cの組み合わせで決まります。空腹時血糖126mg/dL以上かつHbA1c6.5%以上であればD判定(要精密検査・治療)、空腹時血糖110〜125mg/dLやHbA1c6.0〜6.4%であればC判定にあたり、この範囲では75g経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)が推奨されています。
血糖の異常が続くと、神経・目(網膜症)・腎臓(糖尿病関連腎臓病)の合併症や、心臓・血管の病気のリスクが高まります。ただし、HbA1cが6%台前半の段階で見つかった方は、生活習慣の調整だけで数値が戻ることも珍しくありません。この段階で分かったことには、大きな意味があります。
なお、健診の空腹時血糖は「10時間以上絶食」が前提です。前夜遅くに食事をした、朝に甘い飲み物を飲んだ、といった場合は数値が高めに出ます。心当たりがあれば、診察時にお伝えください。
脂質・コレステロールの異常
基準範囲(A判定):LDLコレステロール60〜119mg/dL/HDLコレステロール40mg/dL以上/中性脂肪30〜149mg/dL/Non-HDLコレステロール90〜149mg/dL
判定区分では、LDLコレステロール140〜179mg/dLがC判定、180mg/dL以上はD判定です。なお2026年改定の判定区分では、総コレステロールは判定の対象から外れ、Non-HDLコレステロールを算出するための値として扱われるようになりました。結果票に総コレステロールの記載しかない場合は、LDL・HDL・中性脂肪を含めた再検査で確認します。
LDLコレステロールが高い状態が続くと動脈硬化が進み、将来の心筋梗塞や脳梗塞のリスクが上がります。ただし、LDLの数値がいくつなら治療が必要かは、一律には決まりません。日本動脈硬化学会『動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版』では、年齢・性別・喫煙・血圧・糖尿病の有無などから今後10年間の発症リスクを推定し、そのリスクに応じて管理目標値を設定する考え方が採られています。同じLDL150mg/dLでも、40代の非喫煙者と、糖尿病と高血圧のある60代とでは、意味が異なるということです。
中性脂肪は食事の影響を最も強く受ける項目のひとつで、判定は空腹時採血が前提です。前夜の飲酒でも上がります。数値が高かった方は、条件を整えて測り直す価値があります。
腎機能の異常(クレアチニン・eGFR)
基準範囲(A判定):クレアチニン 男性1.00mg/dL以下・女性0.70mg/dL以下/eGFR 60.0mL/分/1.73m²以上
判定区分では、eGFR 45.0〜59.9がC判定、44.9以下がD判定とされています。
慢性腎臓病(CKD)は、KDIGOの2024年版ガイドラインでも、腎臓の構造または機能の異常が3か月以上続く状態と定義されています。ここで重要なのは「3か月以上」という部分です。脱水や発熱、痛み止めの服用でも、クレアチニンは一時的に上がります。一度の検査だけでCKDと診断することはできません。
一方で、腎臓は「沈黙の臓器」と呼ばれ、働きがかなり低下するまで自覚症状が出ないことがほとんどです。むくみ、だるさ、夜間の尿の回数の増加といった症状が出てからでは、進行していることもあります。だからこそ健診での早期発見に意味があります。
腎機能が低下する主な原因
日本で透析導入に至る原因として最も多いのは糖尿病関連腎臓病、次いで腎硬化症(高血圧などによる血管の変化)、慢性糸球体腎炎(IgA腎症など)と報告されています。ほかにも、多発性のう胞腎、自己免疫疾患に伴う腎障害、薬剤性の腎障害、尿路の通過障害などが原因になります。原因によって進行の速さも、有効な対応もまったく異なるため、「腎機能が落ちている」で止めず、なぜ落ちているのかを調べることが大切です。
腎臓専門医への相談が検討される目安
日本腎臓学会の考え方では、おおむね次のような場合に腎臓専門医への紹介が検討されます。
- 尿蛋白が高度(試験紙で2+以上、または尿蛋白/クレアチニン比0.50g/gCr以上)
- 尿蛋白と尿潜血が両方とも陽性
- eGFRが45未満(40歳未満の方ではより早い段階から)
- 1〜3年でeGFRが30%以上低下、または急速に低下している
- 顔や足のむくみを伴う(ネフローゼ症候群が疑われる場合)
当院は腎臓内科医が在籍し腎臓疾患の診療にあたっており、この判断を含めてご相談いただけます。
▶腎機能低下を指摘された方へ / クレアチニン・eGFRについて詳しく


尿検査の異常(尿蛋白・尿潜血・尿糖)
基準範囲(A判定):尿蛋白(−)/尿潜血(−)/尿糖(−)
判定区分では尿蛋白・尿潜血ともに(+)でC判定、(2+)以上でD判定です。さらに、尿蛋白(+)かつ尿潜血(+)の場合は、それだけでD判定と定められています。この2つが揃うことには、それだけの意味があるということです。
尿蛋白が陽性だった場合
尿蛋白は一時的に陽性になることがあります。代表的なのが起立性蛋白尿で、立っている時間が長い、運動した、腹圧がかかったといった条件で、腎臓に病気がなくても蛋白が出ることがあります。この可能性を確認するには、**朝起きてすぐ、動き出す前の尿(早朝第一尿)**で測り直します。健診の尿は日中の随時尿であることが多いため、条件を変えるだけで陰性化する方は少なくありません。
一方、持続する尿蛋白は腎臓病のサインになります。糖尿病関連腎臓病、慢性糸球体腎炎、ネフローゼ症候群などが背景にあることがあり、蛋白の量が多いほど腎機能が低下していく速度が速くなることが知られています。
尿潜血が陽性だった場合
尿潜血は、腎臓そのものの病気(IgA腎症などの腎炎)だけでなく、尿管結石、膀胱炎などの尿路感染、まれに膀胱や腎臓の腫瘍が原因になることがあります。女性では月経の前後に陽性となることもあり、その場合は時期をずらして再検査します。
特に注意したいのは、40歳以上で尿潜血が続く方や、目で見て分かる血尿(肉眼的血尿)があった方です。この場合は泌尿器科での評価が必要になることがあり、当院から連携医療機関へご紹介します。
尿糖が陽性だった場合
血糖値が一定以上(おおむね160〜180mg/dL程度)を超えると、尿に糖が出ます。健診で尿糖が陽性であれば、血液検査で空腹時血糖とHbA1cを確認します。なお、糖尿病の治療薬であるSGLT2阻害薬を服用している方は、血糖が高くなくても尿糖が陽性になります。服用中のお薬は必ずお伝えください。
肝機能の異常(AST・ALT・γ-GT)
基準範囲(A判定):AST 30U/L以下/ALT 30U/L以下/γ-GT(γ-GTP)50U/L以下
原因として多いのは脂肪肝(代謝機能障害関連脂肪性肝疾患)です。ほかに、アルコール性肝障害、B型・C型などのウイルス性肝炎、薬剤性肝障害、自己免疫性肝疾患、胆道の病気などが挙げられます。
ALTがASTより高い場合は脂肪肝や慢性肝炎、ASTのほうが高い場合はアルコールの影響や肝硬変、γ-GTだけが高い場合はアルコールや薬剤、胆道系の影響——というように、どの数値がどう上がっているかで、考えられる原因が絞られていきます。当院では血液検査に加え、腹部超音波検査で肝臓の状態を確認できます。
なお、サプリメントや漢方薬、市販の鎮痛薬でも肝機能が変動することがあります。健康のために飲んでいるものが原因だった、というケースも実際にあります。服用中のものはすべてお知らせください。
尿酸値の異常
基準範囲(A判定):2.1〜7.0mg/dL
判定区分では7.1〜7.9がB判定、8.0〜8.9がC判定、9.0mg/dL以上がD判定です。
尿酸値が高い状態が続くと、痛風発作(多くは足の親指の付け根が突然、強く痛む)や尿路結石のリスクが高まります。関係する要因としては、アルコール(特にビール)、プリン体の多い食品、果糖を多く含む清涼飲料、脱水、肥満、一部の薬剤(利尿薬など)が知られています。
痛風発作を一度でも起こした方は再発しやすく、目標とする尿酸値の管理はより厳しくなります。また、尿酸値が高い方には高血圧、脂質異常症、腎機能低下が併存していることが多く、尿酸だけを見るのではなく、全体を評価することが大切です。
貧血(ヘモグロビン)
基準範囲(A判定):男性13.1〜16.3g/dL/女性12.1〜14.5g/dL
判定区分では、男性12.0g/dL以下・女性11.0g/dL以下でD判定とされています。
ヘモグロビンは酸素を全身に運ぶ役割を担うため、低下すると、だるさ、息切れ、めまい、動悸などが出ることがあります。ただしゆっくり進行した貧血では、身体が慣れてしまい、症状を自覚しないまま数値だけが下がっていることもあります。
原因として最も多いのは鉄欠乏性貧血です。女性では月経による出血が関与することが多い一方、男性の鉄欠乏性貧血や、閉経後の女性の貧血は、消化管からの出血が背景にある可能性を考える必要があります。この場合、内視鏡検査での確認が必要になることがあり、連携医療機関へご紹介します。ほかにビタミンB12・葉酸の不足、腎性貧血、慢性炎症に伴う貧血、血液疾患なども原因になります。
当院では、血液検査で貧血の程度と種類(鉄、フェリチン、ビタミンなど)を評価し、原因に応じた対応をご提案します。
白血球・血小板の異常
基準範囲(A判定):白血球3,100〜8,400/µL/血小板14.5万〜32.9万/µL
白血球が多い場合、まず考えるのは感染症や炎症です。外来では、喫煙やストレス、ステロイドの服用でも軽度に上がっている方をよく拝見します。ただし著しく高い場合や、他の血球にも異常がある場合は、血液の病気を含めた評価が必要です。判定区分では10,000/µL以上がD判定です。
白血球が少ない場合は、ウイルス感染の後、自己免疫疾患、薬剤の影響(一部の抗甲状腺薬、抗菌薬、抗てんかん薬など)などを考えます。
血小板が多い場合は、鉄欠乏、慢性の炎症、骨髄増殖性疾患など。血小板が少ない場合は、免疫性血小板減少症、肝硬変を含む肝疾患、薬剤性、ウイルス感染などが挙げられます。判定区分では10万/µL未満がD判定です。
軽度の変動であれば、時期をおいて再検査するだけで戻ることも多くあります。一方、繰り返し異常が続く場合や複数系統に異常がある場合は、血液内科での精密検査が必要と判断し、専門医療機関へご紹介します。
心電図の異常
健診の心電図では、不整脈(心房細動、期外収縮など)、心筋の変化を示唆する所見、伝導の異常などが指摘されます。自覚症状がなく、以前から同じ所見が続いている場合は、経過をみるだけでよいことも多くあります。
一方で、胸の痛み、動悸、息切れ、失神やそれに近い症状を伴う場合、あるいは今回はじめて指摘された変化である場合は、確認が必要です。24時間ホルター心電図(不整脈が出るタイミングを捉える検査)や心臓超音波検査(心臓の動きと弁を評価する検査)で詳しく調べます。当院で対応が難しい検査や治療が必要と判断した場合は、循環器の専門医療機関へご紹介します。
胸部レントゲンの異常
陰影や結節を指摘された場合、原因は炎症の跡、過去の感染症の名残、良性の変化など、心配のいらないものであることも多くあります。一方で、肺炎、結核、間質性肺疾患、肺の悪性腫瘍が隠れていることもあります。
レントゲン写真だけで判断を確定することはできません。多くの場合、胸部CT検査で詳しく確認します。当院にCTはありませんので、この場合は連携医療機関へご紹介します。特に喫煙歴のある方、以前の写真と比べて新しく現れた影がある方は、早めの確認をおすすめします。
BMI・腹囲(メタボリックシンドロームの指摘)
基準範囲:BMI 18.5〜24.9/腹囲 男性84.9cm以下・女性89.9cm以下
腹囲やBMIの指摘は、それ自体が病気ということではありません。ただし、血圧・血糖・脂質のいずれかと重なるとき、動脈硬化性疾患のリスクが相加的に高まることが知られています。「一つひとつは軽度なのに、いくつも並んでいる」結果票は、実は注意が必要なパターンです。
体重については、増加だけでなく意図しない減少も重要です。半年で5%以上の体重減少がある場合は、糖尿病、甲状腺の異常、消化器の病気などを含めて評価します。
「再検査」と「精密検査」は何が違うのですか
混同されやすい言葉ですが、目的が異なります。
- 再検査:同じ検査をもう一度行い、値が本当に続いているのかを確かめます。一時的な変動を除外することが目的です。血圧、尿蛋白、肝機能、中性脂肪などでよく指示されます。
- 精密検査:異常があることを前提に、なぜそうなっているのかを調べます。血液・尿の追加項目、超音波、心電図、画像検査などを組み合わせます。
- 要治療:すでに治療の必要性が高いと判断された状態です。ただしこの場合も、まず生活習慣の調整から始めることは十分にあります。
結果票に「要再検査」とあるのに、実際にお話を伺うと精密検査から始めたほうがよい方もいますし、その逆もあります。判定区分はあくまで最初の目安であり、年齢、既往歴、これまでの経過、症状を合わせて、実際に何をするかを決めていきます。
受診の流れ
① ご予約・受付 WEBまたはLINEからご予約ください。当日の受付も可能ですが、予約優先制のためお待ちいただく場合があります。受付では、保険証(またはマイナ保険証)と健診結果票をご提示ください。
② 問診・診察 医師が結果票を確認し、症状の有無、既往歴、服用中のお薬、ご家族の病歴、食事・飲酒・運動・喫煙の状況などを伺います。血圧測定、聴診、必要に応じてむくみの確認などを行います。
③ 検査 必要と判断した検査を行います。血液検査、尿検査、心電図、腹部・頸動脈などの超音波検査、酸素飽和度の測定などに対応しています。検査項目によっては、後日改めて条件を整えて(絶食など)お越しいただくことがあります。
④ 結果のご説明 検査結果をもとに、考えられる原因、現在の状態、治療が必要かどうか、今後の見通しをご説明します。**分からないことはその場でお尋ねください。**図を使ってご説明することもできます。
⑤ 治療または経過観察 治療が必要な場合は、生活習慣の調整とお薬の相談を行います。すぐに治療の必要がない場合は、次回いつ確認するかを具体的に決めます。「経過観察」で終わらせず、次の確認時期をはっきりさせることを大切にしています。専門的な検査や治療が必要な場合は、適切な医療機関へご紹介します。
つつじヶ丘駅前内科クリニックでできること


当院は東京都調布市、京王線つつじヶ丘駅前の内科・腎臓内科・アレルギー科です。健診で異常を指摘された方の再検査・精密検査に対応しています。
対応している検査
- 血液検査(血算、肝・腎機能、脂質、血糖・HbA1c、尿酸、鉄・フェリチン、甲状腺機能など)
- 尿検査(尿定性、尿沈渣、尿蛋白/クレアチニン比、尿アルブミンなど)
- 血圧測定・家庭血圧の評価
- 心電図検査
- 超音波検査(腹部、頸動脈など)
- 酸素飽和度の測定
- 睡眠時無呼吸症候群の自宅簡易検査
対応している診療
- 高血圧、脂質異常症、糖尿病、高尿酸血症・痛風の診療
- 慢性腎臓病(CKD)の評価と管理、尿蛋白・尿潜血の精査
- 健康診断結果についてのご相談(結果票を見ながらの説明のみのご相談も可能です)
- 生活習慣についてのご相談、看護師による食事・運動のご相談
- 健康診断、予防接種
- 必要に応じた専門医療機関へのご紹介
院長は腎臓専門医・透析専門医として、尿蛋白・尿潜血・eGFR低下といった腎臓に関わる健診異常の評価を専門的に行っています。診療科の見当がつかない結果票についても、まずはご相談いただければ、必要な検査と受診先を整理してお伝えします。
「症状はないが、健診で指摘された」「何科に行けばよいか分からない」「まずは説明だけ聞きたい」——そうしたご相談で構いません。
当院では対応できないこと
当院で実施していない検査・治療は、次のとおりです。該当する場合は、連携する医療機関へご紹介します。
- CT検査・MRI検査:胸部レントゲンの陰影の精査、腹部の詳しい評価などで必要になります。当院では実施していません。
- 上部・下部消化管内視鏡検査(胃カメラ・大腸カメラ):貧血の原因検索や便潜血陽性の精査で必要になります。当院では実施していません。
- 腎生検:尿蛋白や血尿の原因を組織で確定する検査です。入院が必要なため、専門医療機関へご紹介します。
- 心臓カテーテル検査、24時間ホルター心電図を超える循環器精密検査:専門医療機関で対応します。
- 入院を要する検査・治療、透析治療:当院では実施していません。
- 緊急処置を要する状態:胸痛が続く、意識が遠のく、強い息切れがあるなどの場合は、当院にお越しになるより先に救急医療機関の受診、または救急要請をご検討ください。
**確定診断がつかない段階で治療を始めることはいたしません。**必要な検査ができない場合は、その旨をはっきりお伝えし、どこで何を受けるべきかをご案内します。
受診前にご準備いただきたいもの
- 健診結果票(できれば過去2〜3年分)
- 保険証またはマイナ保険証
- 服用中のお薬手帳、サプリメント・市販薬の情報
- 家庭で血圧を測っている方は、その記録
- 気になる症状のメモ(いつから、どんなときに、どのくらい)
特に、過去の結果票とお薬・サプリメントの情報は、診断の方向性を大きく左右します。写真でも構いませんので、お持ちください。
曜日別のご案内
健診異常の再検査・ご相談は、火曜・水曜・木曜が比較的ご案内しやすい曜日です。月曜・土曜は混み合いやすいため、ゆっくりご説明の時間を取りたい方はご検討ください。
- 火曜:高血圧、脂質異常症、心電図異常、動悸・胸の症状など
- 水曜・木曜:尿蛋白、尿潜血、腎機能低下、クレアチニン高値、生活習慣病など
- 金曜午前:血糖値、HbA1c、糖尿病、甲状腺など
どの曜日を選べばよいか分からない場合も、結果票をご持参のうえご相談ください。
よくあるご質問
Q. 症状が何もありません。それでも受診したほうがよいですか。
A. 健診で指摘される項目の多くは、症状が出る前の段階で見つかるものです。高血圧、脂質異常症、糖尿病、慢性腎臓病はいずれも、初期には自覚症状がほとんどありません。「症状がない」ことは、受診しなくてよい理由にはなりにくいとお考えください。ただし、すぐに治療が始まるわけではなく、まずは確認から始まります。
Q. 再検査を受けたら、必ず薬を飲むことになりますか。
A. いいえ。厚生労働省の標準的な健診・保健指導プログラムでも、受診勧奨判定値を超えたからといって直ちに服薬が始まるわけではないことが明記されています。実際、血圧140〜159/90〜99mmHgや軽度の脂質異常では、まず生活習慣の調整から始めることが一般的です。お薬を使うかどうかは、数値だけでなく、年齢やほかのリスクを含めて一緒に決めていきます。
Q. どのくらいの期間内に受診すればよいですか。
A. 項目と数値の程度によります。血圧160/100mmHg以上、空腹時血糖126mg/dL以上かつHbA1c6.5%以上、尿蛋白(2+)以上、胸部レントゲンの新しい陰影、心電図異常+症状などは、数日以内の受診をおすすめします。それ以外の多くの項目は、数週間以内を目安にご相談ください。判断に迷う場合は、結果票をお持ちいただければその場で整理します。
Q. 昨年も同じ項目を指摘されましたが、そのままにしています。
A. 同じ指摘が続いている場合は、一時的な変動ではない可能性が高くなります。特に腎機能や尿蛋白は、数年かけて少しずつ進むことがあり、「毎年同じ」と「毎年少しずつ悪化」は見た目が似ています。過去の結果票を並べて確認するだけでも、判断材料が増えます。
Q. 健診結果について、説明だけ聞きに行くことはできますか。
A. 可能です。結果票をお持ちいただければ、項目の意味、急ぐかどうか、必要な検査、受診すべき診療科を整理してお伝えします。検査をその日に受けるかどうかは、ご相談のうえで決めていただけます。
Q. 会社の健診と、クリニックでの再検査は何が違うのですか。
A. 健診は決められた項目を一律に測る「ふるい分け」です。一方、再検査・精密検査では、指摘された項目の背景を調べるために、必要な検査を選んで追加します。たとえば尿蛋白であれば早朝第一尿での再検、尿蛋白/クレアチニン比、尿沈渣、腎臓の超音波検査といったように、健診には含まれない項目を組み合わせます。
Q. 家族が健診で異常を指摘されましたが、受診を嫌がります。
A. よくあるご相談です。「異常=病気」と受け取られて構えてしまうことが多いのですが、実際には確認から始まります。まず説明だけを聞きに来ていただく形でも構いません。ご家族が一緒に来院され、説明を聞いていただくことも可能です。
まとめ
- 健診の判定は病名ではなく、次に何をするかを示す区分です
- 一度の異常がそのまま病気を意味するわけではありませんが、確かめないままにするのは避けてください
- **「今年の数値」だけでなく「去年からの変化」**が重要です。過去の結果票をお持ちください
- 血圧160/100mmHg以上、空腹時血糖126mg/dL以上かつHbA1c6.5%以上、尿蛋白(2+)以上、尿蛋白と尿潜血がともに陽性、胸部レントゲンの新しい陰影などは、早めの受診をおすすめします
- 当院では血液検査、尿検査、心電図、超音波検査などで再検査・精密検査に対応しています
- CT、MRI、内視鏡、腎生検、入院を要する検査・治療は当院では実施していません。必要な場合は連携医療機関へご紹介します
健診結果票は、身体からの申し送り書のようなものです。読み解いて、次の一手を決めるところまでが健診です。ご不明な点があれば、結果票をお持ちのうえ、お気軽にご相談ください。
参考文献
- 日本人間ドック・予防医療学会「判定区分(2026年4月1日改定)」 https://www.ningen-dock.jp/other_inspection/
- 日本高血圧学会『高血圧管理・治療ガイドライン2025』(JSH2025), 2025年 https://www.jpnsh.jp/guideline.html
- 日本高血圧学会「特定健診における受診勧奨判定値についての正しいご理解を」2024年5月24日 https://jpnsh.jp/data/202405-level.pdf
- 厚生労働省「標準的な健診・保健指導プログラム(令和6年度版)」2024年4月 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000194155_00004.html
- Kidney Disease: Improving Global Outcomes (KDIGO) CKD Work Group. KDIGO 2024 Clinical Practice Guideline for the Evaluation and Management of Chronic Kidney Disease. Kidney Int. 2024;105(4S):S117–S314. https://kdigo.org/wp-content/uploads/2024/03/KDIGO-2024-CKD-Guideline.pdf
- 日本腎臓学会『CKD診療ガイド2024』東京医学社, 2024年
- 日本動脈硬化学会『動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版』2022年 https://www.j-athero.org/jp/jas_gl2022/
- 日本糖尿病学会『糖尿病診療ガイドライン2024』南江堂, 2024年
- 日本痛風・尿酸核酸学会『高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン 第3版(2022年追補版)』
