血圧を上げる食べ物とは?
血圧を上げる食べ物は、塩分(ナトリウム)が多いもの、交感神経を刺激するもの、があります。
血圧を上げる食べ物:①カップラーメン【高塩分による血圧上昇】
なぜカップラーメンは血圧を上げるのでしょうか。
カップラーメン1食には、平均5~7gの食塩相当量が含まれています。
これは、日本高血圧学会が推奨する1日塩分摂取量6g未満を、たった1回の食事で超えてしまう量です。
他の食事で塩分を全く取らないなら良いですが、それは厳しいです。
塩(ナトリウム)は血液中の浸透圧を高め、血液中の水分量を増加させます。
その結果、心臓より多くの水分(血液)を押し出す必要がでてくるため、血圧(血管にかかる圧力)が上がります。
また、ナトリウム自体が血管壁の平滑筋を刺激し、血管収縮作用をもたらすこともわかっています。さらに、食塩摂取を6g/日以下に制限すると、収縮期血圧は平均して約4~5mmHg低下します。(J Hum Hypertens. 2009.)
つまり、普段から高塩分食品を毎日摂取していると、慢性的に高血圧状態をつくってしまいます。
● 特に注意すべきポイント
スープを飲み干すとさらに2〜3gの塩分追加になるため、絶対に控えましょう。
血圧を上げる食べ物:②エナジードリンク【カフェインと糖分による交感神経刺激】
エナジードリンクには、高濃度カフェイン(1缶80〜160mg)、高糖質(20〜30g以上)が含まれています。
カフェインは中枢神経刺激作用を持ち、交感神経を興奮させます。
これにより、心拍数が増加し、末梢血管が収縮し、一時的な血圧上昇を引き起こします。
研究でも、エナジードリンク摂取30分以内に、収縮期血圧が平均6.2mmHg、拡張期血圧が6.1mmHg上昇しました。(Adv Nutr. 2016 Sep 7;7(5):950–960.)
また、糖分の過剰摂取は、インスリン抵抗性の悪化と血管内皮障害を促進し、長期的な高血圧リスクも高めます。
カリウムが少ない食べ物
カリウムにはナトリウムを体の外に出す作用があります。カリウムが少ない食べ物は、血圧を下げる作用がすくないため、塩分が多い状態を体に作ってしまいます。
血圧を上げる食べ物:③ハム・ベーコン・ソーセージ(加工肉)
加工肉類は、保存性と味付けを目的に、多量の塩分、無機リン添加物(リン酸塩) を含んでいます。
この高塩分により、血圧が直接上昇します。
さらにリンの過剰摂取は、血中リン濃度の上昇→血管壁の石灰化→動脈硬化進行へとつながり、間接的に高血圧リスクを高めます。
この研究では、リン摂取が多い人ほど心血管イベントと全死亡率が有意に高いことが示されています。(Am J Clin Nutr. 2013 Nov 13;99(2):320–327.)また、別の疫学研究では、「加工肉摂取が多い群は、高血圧リスクが24%増加」していました。(Circulation. 2010 Jun 1;121(21):2271-83.)
● 特に注意すべきポイント
朝食にベーコンエッグ、ホットドッグ、コンビニサンドイッチをつい食べたくなりますが注意してください。
また、「無添加」や「減塩」と書かれていても、食べる量や回数が多いと危険になりますので、食べ過ぎ注意です。
血圧を上げる食べ物:④スナック菓子
スナック菓子(例:ポテトチップス)は、ナトリウムが極端に多く、カリウムはほぼゼロ、という栄養です。
ナトリウムは血圧を上げる要因であり、カリウムはその対抗要素として働きます。
カリウムが不足すると、体内のナトリウムを排泄できず、塩分過剰状態が続くため、血圧が上昇します。
研究では、カリウム摂取量が増えると収縮期血圧が平均3.5mmHg、拡張期血圧が2mmHg低下しました。(BMJ. 2013 Apr 3:346:f1378.)つまり、カリウムの摂取量が不足すると、血圧を上げやすくなってしまいます。
● 特に注意すべきポイント
ポテトチップス1袋で、簡単に塩分3g以上をとってしまいます。1日の塩分摂取量は6g以下が目安のため、ポテトチップス1袋で一日の半分を摂取してしまいます。
体に良さそうな野菜チップスもぜひ塩分量はチェックしてみてください。
血圧を上げる食べ物:⑤アルコール
アルコールには初期には血管拡張作用もありますが、慢性的な過剰摂取では、交感神経緊張の持続と血管収縮が強くなります。さらにアルコール摂取をし続けると、睡眠障害、肝機能障害、内臓脂肪の増加も引き起こし、これは、高血圧になるリスク増加させます。
研究でも、アルコール摂取量を減らすことで、収縮期血圧が平均5.5mmHg、拡張期血圧が4mmHg低下することが示されています。(Lancet Public Health. 2017 Feb;2(2):e108-e120.)
つまり、飲酒を制限することは、血圧をコントロールすることにはとても大事です。
● 特に注意すべきポイント
毎日飲む習慣は、血圧を上げるリスクがとても高く、最低でも休肝日(お酒を飲まない日)を週2回以上は確保するようにしましょう。
節度ある一日の飲酒量は、男性は日本酒1合まで、女性は0.5合程度までです。
よく外来では、ビールは350mlを一缶までとお伝えしております。
節度ある飲酒以上は体に毒ですので覚えておいてください。
血圧を上げない食事のポイント
だしや香辛料を用いて、塩分の薄味に慣れましょう。
スープなどには塩分が多いため、具を食べて、スープを飲まないようにしましょう
加工食品よりも手作りの料理を食べましょう。
洋食よりも和食を選びましょう。
野菜、豆、海藻などの食事を意識してとりましょう