腎臓に悪い食べ物一覧|クレアチニンを上げる食品を腎臓専門医が解説
健康診断の血液検査で「クレアチニンが高い」「腎機能(eGFR)が下がっている」と指摘された経験はありませんか。クレアチニンは、筋肉を動かしたあとに出る老廃物で、通常は腎臓でろ過されて尿に排出されます。腎臓の働きが落ちると排出が追いつかず血液中にたまるため、その値は腎臓の働きぐあいを映す大切な指標になります。そして、日々の食事の中には、このクレアチニンを上げ、腎臓に負担をかけてしまう食べ物があります。今回は、腎臓内科を専門とする立場から、クレアチニンを悪化させやすい食べ物とその理由を解説します。なお、以下の内容は、主に腎機能がすでに低下している方に向けた注意点です。腎臓が健康な方が、これらを過度に恐れる必要はありません。
なぜ食べ物でクレアチニンが上がるのか
理由は大きく三つあります。
一つ目は、たんぱく質の代謝です。体はたんぱく質を分解する際に、老廃物としてクレアチニンを作り出します。腎臓が健康ならこれを尿へ排出できますが、腎機能が落ちていると、うまく捨てられずに血液中にたまり、クレアチニン値が上がります。
二つ目は、食品そのものに含まれるクレアチンやクレアチニンです。肉や魚には、クレアチニンのもとになるクレアチンが多くふくまれています。とくに加熱調理をすると、その一部が調理の過程でクレアチニンに変化します。つまり、加熱した肉や魚を食べると、老廃物であるクレアチニンを直接とり込むことにもなるのです。
三つ目は、たんぱく質のとり過ぎそのものが腎臓の負担になることです。大量のたんぱく質を処理するために腎臓は過剰に働かされ(過剰ろ過)、これが続くと腎機能の低下を早める一因になると考えられています。


① 赤身肉(牛肉・豚肉・羊肉)


まず気をつけたいのが、牛・豚・羊などの赤身肉です。赤身肉はたんぱく質が豊富なうえ、クレアチニンのもとになるクレアチンも多くふくむため、クレアチニンが上がりやすい代表的な食品です。
赤身肉と腎臓の関係は、大規模な研究でも示されています。6万人以上を追跡したアジアの研究では、赤身肉を多く食べる人ほど末期腎不全(透析が必要になる状態)になるリスクが高く、最も多く食べる群では最も少ない群のおよそ1.4倍にのぼりました。さらに注目すべきは、赤身肉1食分を魚や大豆、鶏肉などほかのたんぱく源に置きかえると、末期腎不全のリスクが最大でおよそ62%低下したことです。まったく食べないのではなく、「置きかえる・減らす」ことに意味があるのです。
② 加工肉(ソーセージ・ハム・ベーコン)


ソーセージやハム、ベーコンなどの加工肉は、赤身肉の問題点に加えて、さらに二つの負担が重なります。
一つは、リン酸塩です。加工肉には保存性や食感のために「リン酸塩」という添加物が多く使われています。このリンは体に吸収されやすく、血液中のリン濃度を上げ、腎臓に負担をかけることが分かっています。もう一つは、塩分です。加工肉のおいしさの裏には多くの塩分があり、塩分のとり過ぎは血圧を上げ、腎臓の細い血管の血流を悪くして、腎機能の低下につながります。クレアチンに加えてリンと塩分も多い加工肉は、腎臓にとって注意したい食品といえます。
③ サケ・マグロ


「魚は体によい」というイメージがありますが、サケやマグロのように筋肉質な魚には、クレアチンが比較的多くふくまれます。量としては赤身肉より少ないものの、理由は同じで、食べ過ぎればクレアチニンを上げる方向に働きます。
ただし、これは「魚を食べてはいけない」という意味ではありません。魚には血管によい脂(EPA・DHA)などの利点もあります。あくまで、腎機能が低下している方は、特定の魚に偏って大量に食べることを避け、適量を心がけましょう、ということです。
④ 干物
同じ魚でも、干物にはとくに注意が必要です。理由は二つあります。一つは、干すことで水分が抜け、クレアチンが濃縮された状態になっていること。もう一つは、天日干しや加熱の過程で、クレアチンの一部がすでにクレアチニンに変化していることです。つまり干物は、濃縮されたクレアチンと、できあがったクレアチニンの両方をとり込みやすい食品なのです。加えて、干物は塩分も多いため、その点でも腎臓には負担となります。
大切なのは「制限」より「適量とバランス」
ここまで注意したい食品を挙げてきましたが、最も大切なのは、極端に走らないことです。たんぱく質は本来、筋肉や体を維持するために欠かせない栄養素です。腎臓を心配するあまり自己流でたんぱく質を減らしすぎると、筋肉が落ち、かえって体力や免疫力が低下してしまいます。信頼性の高い研究をまとめた解析では、腎機能が低下した方で適切にたんぱく質を調整すると腎不全への進行を抑えられる可能性が示されていますが、その「適切な量」は、腎機能の程度や体格によって一人ひとり異なります。
ですから、どの食品をどれくらいに、というさじ加減は、必ず主治医や管理栄養士と相談しながら決めることが大切です。あわせて、減塩を心がけ、血圧・血糖・コレステロールといった腎臓に影響する生活習慣病を整えることも、腎臓を守るうえで欠かせません。
腎機能は「静かに」低下します
腎機能の低下は、かなり進むまで自覚症状がほとんど出ません。そのため放置されやすく、気づいたときには大きく低下していた、ということも少なくありません。だからこそ、健診でクレアチニンやeGFRの異常、尿蛋白、血尿などを指摘された方は、早めに腎臓内科を受診することが大切です。


当院では、水曜日・木曜日に腎臓内科外来を行っています。尿蛋白・血尿・eGFRの低下・クレアチニン高値・むくみなどについてご相談いただけるほか、高血圧・糖尿病・脂質異常症など腎臓に影響する生活習慣病もあわせて確認します。健診結果や他院の検査結果をお持ちの方は、受診の際にご持参ください。腎臓は、一度大きく傷むと元に戻りにくい臓器です。だからこそ、早めに気づいて手を打つことが何よりの対策になります。気になる方は、どうぞお早めにご相談ください。
執筆者
つつじヶ丘駅前内科クリニック 院長
医学博士 腎臓専門医 透析専門医 内科認定医 産業医
小出高彰
参考文献
- Lew QJ, Jafar TH, Koh HWL, et al. Red Meat Intake and Risk of ESRD. Journal of the American Society of Nephrology. 2017;28(1):304–312.
- Hahn D, Hodson EM, Fouque D. Low protein diets for non-diabetic adults with chronic kidney disease. Cochrane Database of Systematic Reviews. 2020;(10):CD001892.
